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VS勇者・3ラウンド⑧
俺がキーのことを性処理道具としか思っていないと?
キーの口答えに頭を沸騰させたものの、どうしてか「スキだからだよ!」と訴えられたなかった。
今更だったから。
キーが拒絶したり、抗ったりしないのをいいことに、いうに事を欠いて、これまで、馬鹿の一つ覚えに、鼻息荒くふんがふんがと股間に顔を埋めたもので。
そのときは熱病に浮かされたように前後不覚だったとはいえ、せめて記憶と睡眠について悩んでいることを打ちあければよかったものを。
「自分は都合のいい処理係」とキーが自分を卑下して受けとめるのも、しかたない。
「今更、どの口が」と我ながら呆れるが、加えて今の自分の心は揺れっぱなし。
「股間に手を突っこむ」の反応からして、キーは記憶喪失になった芝居をしていると思っている。
そのことを白状させ、目的はなになのか聞きだすため、セックスを強要。
もともとキーは敏感だし、人は快楽に弱い。
痛めつけ脅すより、お預けして焦らすほうが有効的だ。
いや、有効的とどうして云いきれる?
そもそも、セックスによる駆けひき、その高等テクニックをなぜ知っている?
お年ごろながら、魔王打倒最優先とあって、未経験且つ月並みの知識しかない俺が。
さっきと似た疑念がまた浮かびあがり、しばし呆けていたら、泣きっ面のキーが自ら擦りつけてきた。
思考を邪魔されたのに「ちょ・・・」と腰を押さえようとしたものを「いい、いいんです、勇者さま・・・」とさめざめと。
「・・・魔王によって、恐怖が蔓延する世界にあって、勇者さまは、人人の、希望の光で、なくて、はありません。
性欲の処理に、困っても、うかつに、誰かに相手をさせる、わけ、にはいかない・・・。
旅のいく先々で、一夜限りの、恋人を、作ったら・・・人は快く、思わないでしょう。
・・・女相手だと、赤ちゃんができた、とか、どうとか、もっと、ややこしいこと、になる。
そうなる、こと、を、俺は、望まない・・・。
勇者さまが、好色でも、男ズキ、でも・・・揺るぎなく、希望の光であって、人人を照らして、いて、ほしい・・・。
そうして、くれるなら、性欲の、処理を手伝う、のも・・・かまわない。
俺なんか、が、勇者さまの、手助けを、できるのは、むしろ光栄、です・・・・」
俺なんか・・・だって?
「ど、どうして・・・」と耳を疑ったものを、すこしもせず「どうして!」と激怒。
演技にしろ、よりによって俺がもっとも虫唾が走るようなタイプになりきるなんて!
「盲目的な勇者信者ってキモイよなあ」と笑いとばしたくせに!
「手助け!?光栄!?これだけ、みっともなく、だらだら股を濡らしておいて、よく偉そうに云えるな!
俺のために、自分の身を犠牲にしているような口ぶりだけど、ちがうだろ!
俺に抱かれたがっているし、体が歓喜してしかたないんだろ!
そのことを証明してやる!」
激昂して、まくしたてると、高く足を持ちあげて、俺の剥きだしのを当てた。
「あ、そんな、だ・・・!」と怯えるのに「やっぱり口だけか」と嘲って、一気に突入。
あまりのキツさに、顔をしかめたものだが「い、った・・・!」とキーに至っては萎えるほど。
自分もツラければ、キーの苦悶するさまを見るにこちらも萎えそう。
歯を食いしばって、腰を引いて、強く打ちつけの繰りかえし。
「はあう・・・!勇者、さまあ!く、う、うぐ、ぐうあ・・!いた、い、いたい、で、す・・・!あぐう、ううー!い、たあ・・・があ・・・!」
未経験のまま、旅立つことになり、性的なことに疎かった俺は、なかなか、その嗜好が褒められたものではなく、歪んているのかもしれない。
イタイイタイと呻き泣いて悶えるのを眺めるうちに「はっ」と痛快になり、ひどい絞めつけもなんのその、膨張させてがんがんと突きあげ。
伸縮する入り口に先走りが滴って、滑りがよくなれば、イタイの叫びは聞こえなくなって。
先走りでてらてらする、その頭をもたげてきたのを見とめ、奥に突っこみかき回す。
「あ、あ、あ、ああう!ゆ、だ、あ、あん、でっか、く、しちゃ、はあ、あ、ああん!ら、めえ!そん、なあ、ああ、でっか、い、のお・・・・!」
「くう、はあ、ああああ!」と空イキするも、一息つく暇を与えず、ずんずんぐちゃぐちゃ。
「イ、った、ああ、ばかり、な、はう、のに・・・!」と抗議するのを「知っている」と冷ややかに返す。
「俺は知っているよ。
射精しないで達して、そのあとも畳みかけられるのが、気が狂いそうに気もちよすぎるって・・・。
どうしてか分からないけど、俺は知っている。
気もちよすぎて、頭がおかしくなりそうで怖くて『なんでも云うことを聞くから、やめてほしい』と懇願したくなるのも知っている。
だから、やめない。
キーが嘘を吐くのをやめないと、やめてあげない」
正直、俺も限界に近かったが、顔にださないようにし、冷酷に脅迫。
「そんなあ・・・!」と悲痛な叫びをあげつつ「ご、ごめん、なさ、い・・・!」と。
「あ、あう、う、嘘、吐いて、ああ、ない、からあ・・・!
でも、で、もお、ん、勇、者さま、の、気が、済む、は、はあ、な、ら・・・俺、狂、っても、いい、あ、あん、からあ・・・!」
予想外の返答がされて、腰をとどめそうになったのを、舌打ちして、奥まで貫く。
「はああん!」とまたイったらしく、握りつぶさんばかりに絞めつけてきたのに「ぐう・・・!」となんとか我慢。
燃えるように、どこまでも体は高ぶりながら、胸には虚しさが広がって。
ため息を吐いたなら、キーの紐をほどき、狙って弱点をじゅくりじゅくりとじっくりと擦った。
「や、やあ、ああー・・・!」と掠れた声で喘ぎ、射精したのを見届け、俺も抜いてからキーの腹に射精。
呼吸を乱して、ぼんやりとしつつ、怪訝そうに見つめてくるキー。
目を細めて「もういいや」とやけになったように笑いかえした。
「キーの目的や本音がどうかは知らないけど・・・。
とことん俺の思いを踏みにじって、肥溜めに投げ捨てるような真似をするんだな。
キーに好意を示すほど、俺がケガれていくようだ。
ひどい、ほんとにひどい・・・。
俺がこんなに傷つき悲しんでも、キーは平気だっていうのか?」
最後の最後に心をこめて訴えかけたものを、キーは遠い目をしたまま、顔色を変えず。
ため息を飲みこみ、お腹に頭を垂れるしかなかった。
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