0人が本棚に入れています
本棚に追加
時は流れた。
僕は死刑の刑務官なのか……
「佐藤和明、死刑を執行する刑務官に任命する」
僕は重大な犯罪を犯した死刑囚とはいえ、死刑を執行しなければならない。果たして、その任務を遂行できるのだろうか……?しかし、これは現実だ。
その後
「和明君、一週間後になるが法務大臣が死刑の決定をした。君の初めての仕事だ。辛いと思うが仕方がない。わかってくれ」
「はい」
「ただ、複数の刑務官がボタンを押す。君が執行するとは限らない。そこを救いを思うことだ」
「はい、わかりました」
ところは変わり
「美香、病気はちゃんと治療すれば大丈夫だから」
「お母さん、今、起きていることが現実なのかな……」
「明日、主治医が診察するから」
「わかった。お母さん、頑張るから……でも、怖い」
「怖いのは仕方ないけど、気を強く持って」
「わかった、お母さん」
診察の当日
「先生、美香の病気はどうでしょうか?」
「治る可能性はあります。しかし……」
「ううう……」
「お母さん、気を強く持って下さい」
「大丈夫です、ちゃんと治療さえすれば、治る可能性もあります」
「お母さん、先生はなんて言われたの? 私は後どのくらい、生きられるのかしら?」
「ううう……」
「お母さん、泣かないで……気を強く持って、お母さんがそう言ったでしょ」
「そうね」
僕の死刑執行の日が近づいてきた。いよいよ、明日が初めての仕事か……怖い……いくら、複数の刑務官がボタンを押して執行するとしても、僕が殺してしまうかもしれない。親友の光男も同時に死刑の執行を行う事になっていた。
「和明、俺も初めてだ。今日は酒でも飲みに行くか」
「そうだな、光男」
「怖いな、和明。酒が上手くない」
「そうだな、光男」
「でも、仕方ない、任務を果たさないとな」
「そうだな……」
「いくら、重大な罪を犯したといえ、なぜ、死なないといけない。俺達も結果的には同じ事をしているじゃないか。なぜ、俺達が執行しなければいけないんだ。そういう思いがつきまとうよ」
「そうだよな、でも、仕方ないな」
最初のコメントを投稿しよう!