ホタルの舞う中で

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 時は流れた。  僕は死刑の刑務官なのか…… 「佐藤和明、死刑を執行する刑務官に任命する」  僕は重大な犯罪を犯した死刑囚とはいえ、死刑を執行しなければならない。果たして、その任務を遂行できるのだろうか……?しかし、これは現実だ。 その後 「和明君、一週間後になるが法務大臣が死刑の決定をした。君の初めての仕事だ。辛いと思うが仕方がない。わかってくれ」 「はい」 「ただ、複数の刑務官がボタンを押す。君が執行するとは限らない。そこを救いを思うことだ」 「はい、わかりました」  ところは変わり 「美香、病気はちゃんと治療すれば大丈夫だから」 「お母さん、今、起きていることが現実なのかな……」 「明日、主治医が診察するから」 「わかった。お母さん、頑張るから……でも、怖い」 「怖いのは仕方ないけど、気を強く持って」 「わかった、お母さん」  診察の当日 「先生、美香の病気はどうでしょうか?」 「治る可能性はあります。しかし……」 「ううう……」 「お母さん、気を強く持って下さい」 「大丈夫です、ちゃんと治療さえすれば、治る可能性もあります」 「お母さん、先生はなんて言われたの? 私は後どのくらい、生きられるのかしら?」 「ううう……」 「お母さん、泣かないで……気を強く持って、お母さんがそう言ったでしょ」 「そうね」  僕の死刑執行の日が近づいてきた。いよいよ、明日が初めての仕事か……怖い……いくら、複数の刑務官がボタンを押して執行するとしても、僕が殺してしまうかもしれない。親友の光男も同時に死刑の執行を行う事になっていた。 「和明、俺も初めてだ。今日は酒でも飲みに行くか」 「そうだな、光男」 「怖いな、和明。酒が上手くない」 「そうだな、光男」 「でも、仕方ない、任務を果たさないとな」 「そうだな……」 「いくら、重大な罪を犯したといえ、なぜ、死なないといけない。俺達も結果的には同じ事をしているじゃないか。なぜ、俺達が執行しなければいけないんだ。そういう思いがつきまとうよ」 「そうだよな、でも、仕方ないな」
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