会議

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 最後は技術部の冗長部長だった。  期待の新製品の開発が遅れ気味だった。技術的な課題が未解決のようだ。プレゼンに回路図まで付け、説明がとにかく長い。 「ということで、モーターの制御に問題があることが発覚して、そのファームウエアのプログラムを修正しております。しかしながら、まだ設計ミスかバグが根本原因を特定できておりませんので...」 「う~ん。眠い。眠たい。ますます眠くなってきた!」  再び睡魔の襲来だった。私は香ばしいコーヒーの香りを盾にその急襲に耐えていた。それにしても、冗長部長は細かく長い。まるで校長の訓示のようだ。私の闘魂は揺らぎ始め、集中力が落ちていく。つられて瞼も落ちそうだ。私が思わずコービーカップに手を伸ばしたそのとき、かる~くマウスが動いて見えた。しかし、限界だった私の集中力は椅子の背もたれに潜む闇の魔力に完敗だった。 「部員一丸で問題にあたっていますがまだこれといった打開策が見い出せません。この回路のどこかに問題が潜んでいるはずなのですが...」  冗長部長の声が遠くなる。私の心は置いてけぼりだ。画面の回路ももう見えない。私はダークサイドに落ちていた。
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