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こげ茶色の濁流が無数の水路を縦横無尽に駆け巡る。焦った私はティッシュペーパーを抜き取り、手当たり次第にキーを叩いた。突然、モニターが切り替わった。ティッシュボックスを抱えた私の上半身が全画面でアップになっていた。
「棟居さん、貴方何してるんですか?」堅物部長。
「すいません。コーヒーを...こぼしました」
「棟居さん、マイクとカメラがオンですね?」宅見部長。
「あっ、はい。カチ、カチ...カチ、カチ...」
クリック音がはやる心と呼応する。
「棟居さん、このままだとPCがショートして故障します。まずはシャットダウンが先決じゃないでしょうか」冗長部長。
「はい、カチ、カチ...カチ、カチ...」
「棟居! 棟居! 何してる!早くしろ!画面をもどせ!マイクもカメラもオフにしろ!」
「カチ、カチ。カチ、カチ。カチ、カチ...」
「押手部長、ダメです。PCが、PCが、カチ、カチ...深い眠りに落ちました」
「・・・」
「カチ、カチ...カチ、カチ...カチ、カチ...」
浅井本部長が最後に〆た。
「事務局、棟居君を消しなさい」
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