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ミノタウロスは私と真理トッツォさんに接近すると、斧を持つ腕を振り上げた。言われた通り予備動作は大きいが、速くない。これにタイミングを合わせてカウンターを合わせれば、私もミノタウロスと互角に渡り合える筈だ。深呼吸を一つ。
「ミノタウロス、来い!」
斧が振り下ろされる寸前のところでカウンターで音声入力。ジャンプして交わすとミノタウロスの腕に着地。そこから頭部に一撃を当てる。100のダメージを与える事が出来た。初手の倍のダメージだ!
カウンターでミノタウロスの体力を四分の一を削ったなんて信じられないよ。
「遅い、対戦相手はもっと早いぞ!」コーチからの檄が飛ぶ。
「はい、次はもっと早くカウンターを」
「それとカウンターにカウンターを合わせて来るぞ!」
「カウンターに、カウンター?」
「ええとボクシングで言うと、クロスカウンターだね。難易度は普通のカウンターより難しいけどね」
「対戦相手、そんなに上手いんですか?」
真理トッツォさんが説明してくれたけど、またハードル上げられたという事か。いやプロの選手と私ではそこまで開きがあるという事だろう。
「それから相手に休む暇を与えるな、向こうもそのつもりでやってくるのもあるが、回復呪文で体力を戻されたら水の泡だ」
「待ったなしですか?」
「えくれあがこうして苦労しているのと同じ様に、対戦相手も苦労と努力を重ねて試合に臨むんだ。いわばEスポーツは相手に敬意を払ってするスポーツなんだ。だから全力でプレイする」
コーチ、単なる鬼コーチかと思ったけれどちゃんと考えてるんだ。
「カウンターを当てたなら、続けて呪文詠唱してコンボを叩き込むくらいしろ」
「コンボ?」
「コンビネーション、スマホのパズルゲームで連続して絵柄を消す事と同じよ。いけると思ったらとことん連続して攻撃を当てろという事ね」
「次からそうします!」
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