2人が本棚に入れています
本棚に追加
練習用の剣を振った直後、狙い通り、ミノタウロスが太い腕を勢いよくスイングして来た。このタイミングでカウンターを合わせる。
「ミノタウロス、掛かったね!」
クロスカウンターだ。ミノタウロスの腕を跳躍で交わし、渾身の力で剣を振る。太い腕にびっしりと生えた剛毛や無駄毛という無駄毛を全て削ぎ落とすつもりで渾身の一撃を放つ。永久脱毛だっ!ミノタウロスに150のダメージを与える事が出来た!
まだまだ、ここから更にコンビネーションで攻撃を叩き込めば、この一回でミノタウロスに確実に勝てる。そう思ったが、ミノタウロスは雰囲気を変えた。こちらを睨みつけて大きな口を開けると耳を劈くような咆哮をあげた。空気を破るような衝撃に押され、私は再び後方に飛ばされてしまう……
「ダメージは、ないみたい、でもどういう事?」
「モンスターは残り体力が四分の一をきるとキレる。攻撃力とスピードが通常の倍になるぞ」
「どうしてそうなるんですか?」
「仕様だ」
「それはわかりました。けど、大事な事は一番最初に言って下さいよ!」
「それでは修行にならんだろ、身をもって体験するのが一番だ。俺ならキレる前に倒すけどな。来るぞ」
ミノタウロスは怒りに身を任せて、斧を闇雲に振り回して来た。一撃当たっただけで戦闘不能になる未来は目に見えている。あと一回こちらの攻撃が当たれば倒せるが、ミノタウロスは暇を与えてはくれない。
「ミノタウロス、待って!」
「ミノタウロス、落ち着いて!」
「ミノタウロス、話を聞いて!」
連続で猛攻撃を繰り出して来るミノタウロスの斧をカウンターの動きで回避するが、防戦一方だ。さながら闘牛士のように、牛の攻撃をよけているけど、なんでマタドールが牛を宥めてるの。攻撃しなきゃ練習は終わらないのに。
最初のコメントを投稿しよう!