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ニ
「すみません、上カルビとタン塩、ミノとセンマイ、それからご飯中お願いします」
「おい」
「あとそれからキムチとチャンジャ、ご飯大追加で、コーチはどうします?」
「俺も上カルビ、ホルモン、それから牛つくねも頼むわって二人とも頼み過ぎだろ」
「そういう約束ですよ」
学校での練習が終わり、私と真理トッツォさん、コーチの三人は近所の焼肉店『牛骨』で食事をする事に。
「そうだ、えくれあちゃん、コレあげとくね」
真理トッツォさんはバッグからマヌカハニーの袋を取り出して手渡してくれた。声劇アプリケーションのユーザーさんやブイチューバーさん達の必須アイテムだ。本名は違うが、私たちは(この例えが通じるかわからないけど)声劇アプリケーションのユーザーさん達と同じようにユーザーネームで呼び合う事にしている。
「わぁ、有り難う御座います」
「私たちの競技は、喉のコンディションが命綱だからね、プレイの質に影響を与えやすいのよ。勿論、普段の体調管理も、しっかりとしておくように」
「肝に銘じます」
「いきなり親睦か。まぁ同じチーム同士、親睦を深めておくのも大切だな」
コーチはジョッキの烏龍茶を口に含みながらそういった。同じチームって言ってたけど、いつから真理トッツォさんのチームに所属されていたんだろう。
「同じチームとは?」
「えくれあは、真理トッツォの所属するチーム『ピニャータナイツ』に入って貰う。ギルドマスターも優秀な奴だし、女子率も高いから馴染みやすいだろう」
「ピニャータナイツ」なんだかお菓子が詰まった馬の飾り物みたいな名前のギルドだけど、真理トッツォさんはそこに入っているんだ。こういう競技に女子率高いのも驚きだ。
「この競技は、声を出す事でストレス発散になったり、カロリーの消費も高めで体型維持や向上にもなっているってエクササイズとしてやってる女性も少なくないんだ」
「そうなんですか?」
「中でも世界戦目指そうっていう人たちもいるんだけどね。さぁミノタウロスを倒したご褒美の焼肉が来たよ、どんどん焼くから、たくさん食べてね」
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