6、合宿

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夜ご飯を食べ終えても、まだ7時。 先生の部屋に集まって、今後の予定についてのミーティングをしていた。 窓の外の雨を眺めながら先生が口を開く。 「今夜の天体観測はダメっぽいね。明日の朝までずっと雨だし。明日は曇り時々晴れで、明後日が快晴。明日ワンチャンあるかもで、明後日はほぼ確実。だからさ、今夜は早く寝ることにして、とりあえず明日観光でもしようよ」 ということで、明日は観光をすることになったのだけれど、僕と先輩が早く寝る…はずもなく、9時まで昼間の男の子のヒロトくんを交えながら三人でUNOとトランプをして遊び、何故か途中から先生も参加して盛り上がり、ヒロトくんが寝た後は前園先輩とテレビ通話をして、気がついたら12時になっていた。 テレビ通話は「楽しそう。おれもやりたい」と先生が言い出して、しょうがなく先生と一緒に始めたら、画面の向こうで前園先輩が怪訝そうな顔をして「なんで先生もいるんですか。邪魔なので大人しく寝ててくださいよ」と辛辣な言葉をかけていたけど、なんだかんだで四人で会話を弾ませていた。 「明日は観光するんでしょ。そろそろ寝たほうがいいんじゃない?特に先生が体力もたなそうだし。それに明日は先生が運転するんでしょ?かなり自殺行為に等しいんで、しっかり休んでください。あすかも、綾瀬くんもゆっくり休んでね」 前園先輩が僕たちのことを気遣ってくれて、12時を少し過ぎたくらいで僕たちは寝ることにした。 「綾瀬くん。おやすみなさい」 八島先輩からのおやすみは破壊力が桁違いすぎる。僕もおやすみなさいと返してから、名残惜しいけど、自室に戻った。 冷たい布団に潜る。夏だというのに結構寒い。 いつもより響く雨の音と知らない天井。 畳の上に布団を敷いて寝るのなんて何年ぶりだろう。小学校の修学旅行は行ってないし、中学のは海外でベッドだったし。 布団は、中1のときにアイツの家に泊まったときが最後だったかもしれない。 …だめだ、嫌なことを思い出してしまった。忘れよう。でも、嫌なことって次から次へと思い出してしまう。
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