6、合宿

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『俺はいつまでもお前の味方だから!いつでも困ってたら助ける。今までだってそうしてきたじゃん。俺のことを信じて』 いつもみたいにお前が僕に笑いかけている。 思い出すお前の顔は笑顔ばかりだけど、今の僕とってはその全てが憎い。 何が味方だよ。嘘だったじゃん。お前は肝心なときにそばにいなかったくせに。 逃げたくせに。 調子いいこと言うなよ。 お前のせいで、僕はどん底まで落とされた。 お前が希望を見せたせいで、もっと傷ついた。 ○ 『お前って一人だと何もできないただのクズじゃん?今までの全部倍返しな。覚えとけよ』 お前が逃げたから。 さらに地獄になった。 僕は毎日消えたいって思ってた。 でも、死ねなくて、すべてから逃げた。 殴られたときも、蹴られたときも。 虫を食べさせられたときも。 顔を貶されて服を破かれたときも。 逃げて、逃げて、逃げて。 ○ 『お前の顔を見てると虫唾が走る』 ごめん。 でもさ、僕だって自分の顔嫌いなんだよ。 『女よりもチョロい女顔』 この顔でいいことなんてなかったから。 『アイツといる意味なくね。時間の無駄』 僕にはなんの価値もないの自分が一番知ってる。 いつも何かにすがり付いてないと生きていけない。 親友とか、絵とか、先輩とか。 弱さに笑えてくる。 目から涙がこぼれ落ちた気がした。 いつの間にか眠りについていて、またグロテスクな夢を見た。 僕がゾンビみたいになって人間を食べる夢。 なんか、この夢はいつも似てる。 気持ち悪かった。 寝ているときくらい、幸せな夢を見たいのに。 でも、すべて忘れよう。 朝の自分は夜の自分とは別人のように晴れやかな気分になる。 昨夜のことは忘れて、観光に行くワクワク感に胸を躍らせながら朝の支度を始めた。
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