初恋は黒い傘

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おれは恋をしたことがない。幼稚園、小、中、高と過ごしてきたけど、恋に落ちることはなかった。初恋がまだなんて、友達にも秘密だ。友達たちは誰が可愛いいの、付き合いたいだのと話しているが、おれは頷くだけで話には入らない。 おれはおかしいのか、何か欠如してるのか。自分でも分からない。 とにかく恋したいと思ったことがないんだ。 ある日、晴れの予報だったのに、学校から帰ろうとしたらいきなり雨に降られた。傘も持ってない。仕方がないから濡れながら走った。閉まってしまったケーキ屋の軒下に入って雨宿りをした。このケーキ屋はよく通ってたのに、閉まってしまった思い出のケーキ屋だった。濡れながら雨が止むのを待っていたら、黒い傘がいきなり目の前に差し出された。いきなりで、ビックリして驚いていると黒いスーツの男性が立っていた。
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