prologue

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スマホを手に取り、ドラマについて調べてみると、反響は凄まじいものだった。 そのほとんどが、人気俳優の起用を喜ぶファンたちのものだったけど、 その中にちらほら見られた小説に対する反応に、私は眉をしかめる。 「この原作、悲しすぎるんだよね。だから泣けるんだけど」 「可哀想っていうか、嫌な終わり」 そんなニュアンスの言葉ばかりが並んでおり、 私は、ため息をついてスマホを閉じた。 大衆の意見に対して不満に思うのは、 幼い頃から何度読んだか分からないこの小説を、悲しいお話だと思ったことは一度もないからだ。 これは、私にとっては悲しいお話なんかじゃない。 +.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.+.。.:* 平凡な女の子に夢を見させてくれた心優しい王子様の 素敵な夢の物語なんだから。 +.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.:*・゚+.。.+.。.:* 「久しぶりに読もうかな」 私は少し傷の入った手馴染の良いハードカバーに手を掛け、そっとその分厚い扉を開く。 そして、物語の世界へと溶け込んでいった。
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