私の子はどこ?

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天原総合病院ナースステーション、3勤制の病院、 今日も深夜勤のナース達との入れ替えの時間、そこで上がった話は何とも気分の悪い話だった 「450の三崎さんわかる?あの流産しちゃった人、ずっと私のあかちゃんは?って聞いてくる人、病室で舌噛み切って自殺しちゃったらしいよ」 「まじ!?だいぶ気に病んでたものね」 「流産3回目って話だったものねぇ、旦那さんとその家族とか一回も見舞いに来てなかったし」 「なんか可哀想よねぇ」 暗い空気になるナースステーション、同じ女としてどうしょうもない悲しさが溢れる 自分の子供を失くした上に見向きもしてくれない旦那、気にやまないほうがおかしい 「ほらほら、気分入れ替えて引き継ぎして!患者さんは他にもいるのよ!」 夜勤に入るベテランのナースが手を叩いて空気を変えようとする 「「はい!」」 そして夜は深けていく引き継ぎも終わりナースステーションで作業をしている時 ナースコールが鳴る 「あら?450?宮本さんかしら?」 「え、宮本さんは、三崎さん自殺した部屋が怖くて部屋を移動したんじゃなかったですっけ」 「え?じぁ誰が?」 怪しい空気になるナースステーション 「とりあえず私、行ってみますね」 若いナースが懐中電灯を持って450に向かう、木々も寝静まる深夜病室から聞こえるのは患者の寝息、450に来た、若いナースは、意を決して扉を開ける 「斎藤さん?」 そこには隣の病室の妊婦さんだ 「斎藤さん?どうしました?なんでこの部屋に?」 「木下さん、ここおかしいよ子守唄が聞こえたんだ、でも私しかいないはずでしょう? 気味が悪いから部屋変えてよ」 宮本さんが寝ていたベットから三崎さんが寝ていたベットを気味悪そうに見る斉藤さん 「斉藤さんあなた隣の部屋じゃないですか」 「何言ってるの?私の病室よ?451室でしょ?」 「ここは450室ですよ」 「そんなはずがないわ、私今起きたのよ?寝ながら移動したって言うの?」 そう言いながら斉藤さんは、部屋を出て病室を確認する 「え、なんで、私450室にいるの?」 斉藤さんは、青ざめて病室を見る 不思議な現象に木下も三崎が居たベットを見る 患者のいないベット言いしれない恐怖を覚えた木下は、すぐに部屋を出た。 「とりあえず斉藤さん部屋に戻りましょう、明日には部屋の移動ができるように手配しますので」 妊婦である斉藤さんを隣の部屋にする恐怖を木下は、感じていた。 「そ、そうね、お願い、こんなの気味が悪いわ」 木下は、斉藤さんを部屋に戻し、ナースステーションに戻る 「木下さん、450室何があったの?」 先輩ナースに聞かれて木下は、恐怖しながら今あったことを話す 「なにそれ、斉藤さん、そんな悪ふざけする人じゃないわよね」 「でもなんで450室で寝てたの?」 不気味な現象に静かになったナースステーションにナースコールが鳴る びっくりしてランプを見れば449のランプが光る 「びっくりした、また450室かと思った」 「とりあえず私、いって」びーびーびー またナースコールが鳴る452室続けて443と、ナースコールがどんどんなって行き産婦人科の病院は、450室以外全てなっている 「何これ」 「こんな事初めてだわ」 唖然とするナース達 「とりあえず449室から行くわ、ほかお願い」 ベテランのナースが急いで病室に向かう 「私は452に行くわ、木下さん、443室お願い」 そう言って先輩ナースがナースステーションを出る 443室に入り、ナースコールを押した矢野のベットに向かう 「矢野さーん?どうされましたぁ?」 けれどそこには矢野さんの姿がなかった。 「え?」 病室を見渡しても矢野の姿は、無い 慌てて木下は、病室を出る、他の病室では、鳴らした覚えがなかったり妊婦が消えていたり慌てたナース達は450室で合流した。 「あ、あの、矢野さんと間宮さんと内藤さんが居ないんです」 「こっちも妊婦の患者さんが消えていました」 「こっちもよ、どうなってるの」 3人は恐る恐る450室を見る、 ベテランのナースが恐る恐る扉を開けると、妊婦の患者達がボーと何かを囲んで立っている 「み、みなさ?いかがなさいました?」 恐る恐る3人は、近づいて円の中心を見ると斉藤さんが口から血を流している 「斉藤さん!!」 「木下さん!先生を!!」 「は、はい!」 その声に周りの妊婦達がハッとしたように目を覚ますように歌いだしたが 木下は、それを聞かず走ってナースステーションに向かい、電話をとる、だが何も音がしない どの電話も起動していない、最後の電話でやっと動いたと思ったら 『私の子はどこ』 それは間違いなく三崎さんの声だった。 「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」 思わず受話器を投げ出すそうするとどこからか、歌が聞こえてくる ねんねんころりよ おころりよ。 ぼうやはよい子だ ねんねしな。 ぼうやのお守りは どこへ行った。 あの山こえて 里へ行った。  里のみやげに 何もろうた でんでん太鼓に 笙の笛。 それは三崎さんがまだお腹に赤ちゃんがいる時にお腹をさすりながら歌っていた歌 450室から近づいて来る歌声 妊婦達の真ん中に居るのはさっき倒れていた斉藤さん 何かを抱えてさすっている 「斉藤さん?」 でもその手元を見て木下は息を呑む斉藤さんが抱えていたのは先輩ナースとベテランナースの生首だった 「ひっ!」 木下は倒れて動けなくなった。そこに斉藤さんが近づいて来た。 「私の赤ちゃん、かわいいでしょ?」 恐怖で顔が引きつり動くこともできず木下は斉藤さんの顔を見る 「私の赤ちゃん、可愛いでしょ?」 斉藤さんは、同じ質問を繰り返す 木下は気分を悪くさせないために 「とっても可愛いです」 こわごわひきつった笑顔で返した。 それを聞いた斉藤さんは、にっこり笑って血を吐き倒れた。 その音に気が付いた妊婦達は次々に血だらけの斎藤さんを見て叫び、パニックになった。 ナースたちは生きていたが首に痣を残し、恐怖の記憶に震え、精神疾患を患い退職していった。 木下が後から聞いた話だが斉藤さんは度々三崎に「あんたの子は居ないんだ」「流れたのはあんたが悪いんだ」などの事を言っていたらしい、そしてナース達はしつこく自分の子を探す三崎に「しっかりしなさい、貴方の子はいない事を受け止めなさい」と叱っていたらしい、その恨みか何か知らないが斉藤さんは、三崎に取り憑かれ、ナース達は気を失っただけのはずなのに生首だけになった時の記憶があり切り離される感覚、あやされながら運ばれる感覚に恐怖しその記憶に苦しんでいるらしい。 木下ももちろん、この事件の後に病院を辞めた。 天原総合病院ではいまでも度々歌声が聞こえるそうだ
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