自力でクリアしたい派でした

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自力でクリアしたい派でした

「う……うぅ……なんでなの……?」  問うまでもなく、私自身がよくわかっている。  選択肢を間違えたのだ。  画面上では、バッドエンドのシナリオが展開されていた。 ◆ 「お覚悟っ!」  ザシュッという効果音と共に、白い羽根が視界を覆う。  舞い散る羽根の隙間から見えるのは若い男女の姿。  ベッドの上。刃が突き立てられたそれは人ではなく枕で……。 「甘く見られたものだな」  枕に突き立てられ、少女の手を離れた短剣は、画面越しだと、赤黒い光をまとっていて、呪われていることを強調するため、まがまがしく描かれていた。  短剣から手を離して背後を振り返った少女の瞳は虚ろで、浮かべる表情には何の感情も宿していない。  人形のように無表情な少女は、シナリオ上の主人公。ヒロインというやつだ。 「……なぜキミが……っ、そういうことか」  少女が虚ろな瞳に映したのは、金髪碧眼の美麗な青年。ヒロインの攻略対象の一人、物語の舞台となっている国の王太子だ。 「ぅ……ぁ……」  呪いに抗い言葉を紡ぎ出そうとしている少女の声は意味あるものとして紡がれることはなく、少女は人形のように無表情のまま小刻みに震えている。  短剣の呪いに操られている少女は、虚ろな瞳のまま、静かに涙を流した。  王子の表情が、握りしめられた拳が、やり場のない怒りと深い悲しみを画面越しに伝えてくる。 「…………ごめん」  王子が伸ばした手が少女の額に触れ、発動された魔法により、少女は意識を失った。  眠りについた少女の体を王子が支え、強く抱き締めている。 「キミの記憶を消すしか方法がなかったんだ」 ◆
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