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 魔法の基礎を学ぶ時には、間に休憩を挟むことも多いんだけど、ソファーの空きはあるのになぜかわざわざ私の両隣に座るのはレインとクラウドなのよね。 「毎回この位置って、何か理由でもあるの?」  ゲームの舞台は学園だったし、恋愛フラグが立つはずが無いから、この様子を温かく見守っているシンジュあたりから依頼された護衛の手伝いの一環なんだろうなと予想しているけれど。 「リアに悪い虫が寄り付かないように、ですよ」  にっこりと綺麗な笑みを浮かべたレインが、私の口元にクッキーを添えて「口をあけてくださいね」と言うので現在幼女の私は素直に食べることにする。  よく噛んで飲み込めたのを見計らったように、今度は反対側に座るクラウドから「はい、あーん」と同じようにクッキーを差し出され、断る理由がない幼女はそれもありがたくもらった。  さすがヒロインの生家の公爵家というべきなのか、料理だけでなくお菓子も美味しいんだもの。 「リア様のことは、僕たちがお守りいたします」  そう告げたクラウドもレインも、本当に五歳児なのかと思ってしまうくらい落ち着いた雰囲気で話す。 「俺だってリアを守る騎士だぞ!」  そう叫んで立ち上がったファイは、私の座るソファーの前に片膝を立ててひざまずくと、クッキーを両手で掲げて私の口元に差し出している。  これ、食べたほうがいいのかな?  混乱してシンジュに視線を向ければ微笑みながら頷いている。  なぜみんなして私にクッキーを食べさせようとするのだろう?  幼女だから?  幼女だからだろうな。
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