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異世界転生したようです
知らない天井だけど、見覚えはある。
「ヒロインの自室?」
そんなはずはないと、慌ててベッドから起き上がり、部屋を見渡して鏡を見つけて駆け寄った。
ゲームのスタートは確か十五歳。
三年間学園に通って攻略対象と恋愛イベントを繰り広げ、卒業後にルートに突入したキャラと結婚という流れのはず。
毎回なぜか王子ルートになってしまい、しかも記憶抹消エンドしか見たことがないから自信がない。
「……幼女、だ」
鏡に映ったのは、黒髪の幼女だった。
瞳の色は、髪とは対称のように銀色で、見る角度によってオパールのように虹色のきらめきを放っている。
「この色、ヒロインと同じ」
ゲームの舞台となっていた世界では、黒髪は王家の血筋に多く、王家に連なる血筋の公爵家に生まれた設定のヒロインも黒髪だったけれど、瞳の色は魔力属性や加護を示すと言われているこの世界で、よく見なければ白か淡い灰色にしか見えないヒロインは、瞳の色を理由に魔力無しと判断され、本妻に厭われていたヒロインの母共々、公爵家の恥だと幼少期は王都から離れた辺境にある公爵家の別邸に追いやられて過ごしていた。
本妻との間に子に恵まれなかった公爵が第二夫人として迎えたのが没落貴族だったヒロインの母で、生まれたのが物語のヒロイン。
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