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不思議と、これまでに経験してきた記憶も辿ることができたから書斎の場所もわかったわ。
私と今世の母は、ルーチェフォレスト公爵家の飛び地領地となった辺境の別邸で暮らしていただけで冷遇されていたわけではない。
元々ここは、没落してお家取り潰しになる前の母の生家であるフォレスティア伯爵家が領地としていた土地なのだ。
正妃は若くして流行り病で他界していて、物語に登場する第一王子の母親は側妃として国王に嫁いだヒロインの母の姉だったけれど、他の側妃より身分が低い家の出だったことで軽んじられていた矢先、両親を事故で亡くした。
フォレスティア伯爵家は国境を守る辺境伯というわけではないけれど、守る領地が王家にとって大切な場所であると伝承に残っていて、他の側妃の生家に乗っ取られるくらいならと、領民の生活を守ってくれることを条件にヒロインの母は公爵に第二夫人として嫁ぎ、領地を公爵家と併合したようなの。
ちなみにこれらの情報は、幼女何もわかりません無邪気そのものですを装って屋敷内を駆け回り使用人たちや時折やってくる来客の話に聞き耳を立てたり、時には会話に混ざって集めたものだ。
フォレスティア伯爵家の人々は領民とも良好な関係を築いていたようで可愛がってもらっている。
書斎の本棚に並ぶ本も、乙女ゲーム仕様で文字が日本語だったのはありがたい。
「食べられる野草図鑑、土壌改善、農業入門……ん? 祝福?」
図鑑や農業関連の書物に並んで、なぜか絵本が置かれていたの。
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