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「あらあら、その絵本、最後がちょっと怖いでしょう? こっちがオススメよ?」
絵本の内容が気になって今世の母が書斎に来ていたことに声をかけられるまで気づかなかったからびっくりしたけれど、母が差し出してくれた絵本を条件反射で受け取っていた。
「姫と祝福の宝石?」
「そうよ。よく読めたわね。文字のお勉強もちゃんと復習していて偉いわ」
幼女の無邪気を装った愛想笑いでごまかしておいた。
前世知識によるものなので褒められても反応に困るのよぉ。
このあと、昼食を挟んで母が勧めてくれた絵本を読んだんだけど、アクアフォティアの姫が、神の祝福を受けた宝石を我が子とその伴侶に授けた話だったわ。
その宝石は、代々フォレスティア伯爵家の当主とその伴侶が結婚指輪として受け継いでいると記されていたけれど、母の両親が事故で亡くなった時に指輪は行方知れずとなってしまったと母が悲しそうに話していた。
「明日もお天気は良さそうだから、お弁当を持ってピクニックに行きましょうか。この『姫と愛しの神様』に出てくるお花畑が、この時期とっても綺麗なのよ」
「はい。楽しみですわ!」
どうやら本棚には、アクアフォティアの姫関連の絵本がたくさんあるようだ。
バドエンシナリオ回避のための方法のヒントがあるかもしれない。
今日は時間が許す限り読み漁ろうと思うの。
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