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入団テスト
16歳になった年、二人は第二騎士団の養成所に入った。
ここで集団生活をしながら訓練を受け、半年後の試験に受かれば、第二騎士団の一員になれる。
「二人で絶対合格するぞ!」
「おお!」
それから毎日、厳しい訓練が行われた。十数名の騎士候補生たちは、基礎体力や剣術の訓練の他、礼儀や騎士としての規範などを叩き込まれた。
そして半年後の入団試験。
アイザックは大きな身体を生かした力強い剣術で他の者を圧倒し、リアンは相手を翻弄するような動きと鋭い剣術が認められ、二人とも無事合格した。
寮では同じ部屋を割り当てられた。
「あー、疲れたあ」
リアンがベッドに倒れ込むと、アイザックがリアンの隣に寝転んだ。
「入団前は四人部屋だったから広く感じるな」
「ちょっ、狭いだろ。おまえ、でかいんだから自分のベッドで寝ろよ」
「今日だけ一緒に寝てよ。部屋が変わると眠れないんだ」
「くっ……わかった。今日だけだぞ」
「うん。ありがとう、リアン」
「昔は俺の方がでかかったのにな……ふわぁ」
大きなあくびをするリアン。
「……まったく、いくつになっても、甘えん坊なんだから……」
「リアン? ……寝たのか」
アイザックはクスリと笑い、リアンに毛布をかけた。
「そうやって付け入る隙を与えるから、変なのが寄ってくるんだぞ……まあ、俺が全部排除するけどな」
この半年間、リアンのことを妙な目で見るやつらをけん制しまくってきた。
リアンは差別やいじめには敏感だが、自分が性の対象として見られているという自覚がない。人前でも平気で脱ぐし、優しくされるとあっという間に警戒心を緩める。
(危なっかしくてしょうがない)
アイザックは、何かにつけて部屋に来ようとするやつらを追い出し、万が一のことがないよう、シャワー室でも食堂でも常にリアンのそばにいた。
『なんだよ、あいつ。邪魔だなあ』
『あいつのせいで、全然リアンに近づけない』
『まるでご主人様を守る忠犬だな』
アイザックが裏で〈リアンの番犬〉と呼ばれていることも、リアンはまったく知らなかった。
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