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最初は言われたときはかなりショックを受けたが、時間が経つにつれて確かにそうだよなと受け入れるようになった。
(弘樹に話しかける勇気もない根暗が彼の許嫁だなんてね。しかもバレないようにコソコソ見てるし)
高校を卒業したら弘樹はきっと上京して頭のいい大学に行くだろうし、由宇は地元の国立大学に行く予定だ。そしたら遠距離になるからもう陰口を言われないで済む。
なんて考えているとホッとしたのと同時に少し胸が痛くなった。
(遠距離かぁ。そしたらもう会えないよね。うーん、こっそり見に東京までいってみようかな)
なんてストーカーじみた考えをし始める。話しかける度胸も勇気もないくせに、このまま遠距離になるのは嫌だなんてわがまますぎる。
そんな由宇も1年の頃は、学校で弘樹と会ったら挨拶をしたり喋ったりしていたのだ。
でもファンからの陰口を聞いてから彼らの目が怖くなって、話かけるのを躊躇してしまった。避け始めた由宇をみて最初は弘樹も戸惑っていて「どうしたんだ」と言っていたが由宇は事情を話さなかった。
弱い自分を弘樹に見られたくなかったのだ。視界に入らないようにしていると次第に話すことはなくなって、今ではすれ違ってもお互い目も合わさなくなった。
(自分から避けてしまった結果なのにいつかまた喋れるようになりたいなんて、都合よすぎるよなぁ。それにもう弘樹は愛想尽かしたよね。それにモテるから、もしかしたら好きな人や彼女がいるかもしれない。そのときは応援しなきゃな・・・)
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