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勝は志望校に無事合格できたが、幸星は第一希望に入れず、第三候補でやっと入ることができた。
「はあ、勉強不足だったな」
天を仰ぐ幸星の肩に、勝の手が置かれた。
「大丈夫だよ。高校なんかで運命は決まらない」
いつもゲームで勝つと煽ってくるが、本当はとても優しい。勝の温かさに、涙さえも出そうだった。
窓の外では、顔を出した月が光を降り注いでいた。勝の言葉を思い出す。
「幸星といれるだけで幸せなんだ。」
「何かあったら、相談しろよ」
光の漏れる携帯から、戦場のメリークリスマスが小さく聴こえて来る。
***
少しして、勝たち一家は引っ越すこととなった。玩具や思い出の品まで取捨して、段ボールに詰め込む。終わる頃には、部屋の中が空っぽになっていて、寂しさが現実味を帯びてきた。
目の前に広がる水々しい大地と田んぼは、二人にとって思い出深かい場所だ。
いい思い出を、ありがとう
Trocに乗り込んだ。後部座席から、家が見えなくなるまで手を振り続ける。まるで小学時代に戻ったと錯覚するほど、純粋にこの場所を愛していた。
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