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3 大学時代
「よっしゃ!!」
合格と書かれた紙を掲げながら、幸星は舞い上がった。ずっと夢だった警察学校に入れたのだ。喜びに反して、想像を絶するほど苛烈で、心身ともに苦しむことになるだろう。覚悟はできている、警察とはとても責任感のいる仕事だ。
しかし、閉まりっきりのドアを見た途端心が曇った。合格通知の紙を置いて、ドアの中を覗き込んだ。そこには、痩せ細った兄の姿があった。突然部屋に篭り始めて、もう2年。変わらず、鬱々と壁を見つめている。事情も全く話してくれなく、昔の優しく温かった兄と180度変わってしまった。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
返事はなかった。
「どうしちまったんだよ、」
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