4 大人

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*** 警察官になって早くも5年、幸星は大きな仕事を任されるようになった。更に交差点で知り合った真由美とも交際を始め、結婚する日も近いかもしれない。 しかし肝心の兄は、突然外に行ったっきり帰ってこなくなった。家族全員、ご飯が喉に通らなくなるほど泣き崩れた。月日が経って、兄の顔が段々薄れているのが辛い。 今はどうしているのだろうかー 「幸星くん」 肩を叩かれ、我に返った。 「はい、なんでしょう」 「窃盗が一件。調査してくれないか」 「分かりました、どこのスーパーです?」 「〇〇号店だ、頼むぞ」 *** 涼しげに風鈴が鳴り、ドアが開いた。 「いらっしゃいませ…」 「失礼します、私こういうもので」 「警察の方ですか、どうぞ」 監視カメラの映像を覗き込んだ。すると、午前9時頃、仮面を被った男性が出刃包丁を向けて店員を脅していた。ありったけのお金を袋に詰め込み、逃走する姿が映し出されている。時計を見ると、現在時刻は午後1時。普通なら、ここから徒歩数分の駅へ向かうだろう。一礼して、急いで駅へ向かった。 「袋を抱えた男性がこの駅へ来ませんでした?」 「分かりません… 監視カメラの映像は残っていますよ」 見てみると、9時12分にそれらしき人物が案の定映り込んでいた。 *** 黒いベンツから、痩せた女性が半ば投げられるように車から出された。 「立て」 屈強な男たちが、事務所に連れて行く。 「連れて来たぞ」 縄で椅子に縛りつけた。 「すげー美人だ。こいつはいい」 勝は麻薬の売人に紹介され、ヤクザの一員になっていたのだ。 勝は、女性を連れてきた男たちをさっさと外に出す。ドアを施錠して、女性に面と向かった。 「やめて、何する気よ」 服のボタンに手が差し掛かる…と思えば、彼女を拘束していた縄を丁寧にほどき始めた。女性は訝しげに勝を見つめた。 「どういうこと…?」 「帰っていいぞ、ほらここの裏口から」 女性は終始愕然とした様子で、外へ出ていった。 勝は、強姦なんてしたくない。そんなクソみたいな方法で性欲を満たしたくなかった。 違う、こんな事がしたいんじゃないー
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