彼の秘密

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夏祭り当日、お母さんのお下がりの浴衣を着た。 着付けしてもらいながら、彼が「可愛い」と言ってもらうところを想像する。 髪を結んでメイクをしていつもと違う自分になる。 荷物を持って友達に、「今から出る」と送る。 彼には、「もう準備できたよ」と送った。 私は、家を出て草履を履いたからうまく歩けないけど待ち合わせ時間に、 間に合うように走る。 友達と合流して最初に屋台に行った。 りんご飴や焼きそばとかベビーカステラを食べた。 彼からのLINEの返事はなかった。 いつの間にか、もう花火が打ち上がる時間になって友達と、高台に移動した。 「ここだとよく見れるんだよ」 友達が教えてくれた高台は、誰もいなくて静かに見るには十分な、場所だった。 「もうすぐだね」 その時、私のスマホが鳴った。 彼からだった。 「もしもし?」 「今どこにいる?」 「今高台にいるけど、、」 「そっちに行くから待ってて」 電話が切れた。 私は、友達に「ごめん。すぐ戻る」と言って走って高台を降りた。 草履だと転びそうで、でも彼がすぐ近くにいると思うと会いたくてどうしようもなかった。花火が打ち上がった。 彼が、目の前にいた。優しく微笑んでいた。 「久しぶり。浴衣着てきたんだ。似合ってる。可愛いよ」 「裕くん、、」 「ごめん。プール行けなくて。待たせちゃったよね」 「いいの。今日会えたし。」 私は、打ち上がってる花火を見つめた。 「こうして二人で見れたから」 「じゃこれ本当は、プールの時に渡したかったんだけど」 勿忘草のネックレスだった。綺麗な青い勿忘草のネックレス。 「勿忘草のドラマ見たんだ。そしたら、このネックレスをシーンがあって。」 「いいの?」 「もちろん。君にもらってほしい」 勿忘草の花言葉は、「真実の愛」「誠の愛」「私を忘れないで」 私は嫌な予感がした。
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