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7.猫まんま
「紗代! 見て! アタシ、猫耳も尻尾もないでしょ!? 瞳の色も変えられるの! これでお手伝いできるよね!」
いきなり喫茶店に入ってきたアタシを見て、颯真と琥珀がびっくりした顔をしたの。でも、アタシが紗代を探してるってわかったら、悲しそうな顔になった。
「魅依、おかえり。頑張ったんだね。紗代ばあは半年前に――」
颯真の言葉に、アタシはピンときたの。ああ、間に合わなかったんだって。
そしたら、ほっぺたを伝って水がぽたぽた落ちてきた。これは……涙? 手で拭っても止まらないの。
「悲しいね、魅依」
琥珀が、アタシをギュッと抱きしめてくれたの。
そっか、これが悲しいっていう感情なんだ。猫のときには感じたことのない感情。悲しいと涙が止まらなくなるんだね。
アタシは琥珀にすがりついて、いっぱい泣いたの。
紗代、間に合わなくてごめんなさい。約束破ってごめんなさい。
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