7.猫まんま

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『おかえり、魅依』  んにゃ!? 紗代の声?  アタシは顔をあげて、キョロキョロした。 『魅依、私の声は魅依にしか聞こえないから、黙って聞いて?』  アタシは、小さくコクリとうなずいたの。 『おめでとう、魅依。修行、頑張ったんだね。今の魅依は、どこから見ても人間だ。私の代わりに、喫茶店の仕事をよろしくね。私は、みんなが心配だから、しばらくここに留まってるんだよ。でも、颯真と琥珀にはのびのびと仕事をしてもらいたいから内緒にしてるの。監視されてると思われるのも嫌だしねえ。そうだ魅依、頑張ってきたご褒美に、猫まんまはどうだい? 颯真に作り方を教えてあるから言ってみるといいよ』  ずっと食べてこなかった猫まんまの映像が頭に浮かんだら、ぐうっておなかが鳴った。  紗代の声を聞いてたら、涙は止まってた。 「魅依、おなかが空いてたのか。なにか作ってあげるよ。なにがいい?」  颯真が微笑みながら、アタシに聞いたの。  そんなの決まってるにゃ! 「猫まんま!」 「了解、少し待ってて」  椅子に座ったアタシの前で、ホカホカのご飯の上でかつお節がゆらゆら動いてるの。  アタシ、たまらなくなって、いただきますって言うのも忘れて食べちゃった。かつお節の香りが鼻に抜けるの、塩味とほのかに甘みも感じるの。猫のときより、味覚が敏感になってるみたい。  最高のご褒美にゃ。アタシ、一生懸命、お手伝いするの! いっぱいお手伝いしたら、またご褒美に猫まんま、食べてもいいよね?  紗代の声は聞こえなかったけど、ふわっと風が動いたの。紗代に頭をなでなでしてもらえた気がしたにゃ。  うふふ、紗代……ちゃんと見ててね。アタシ、大活躍しちゃうんだから!
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