1. 助けてくれたのは

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破れたストッキングも替えたかったので、新堂さんには先に会議室に行って待っててもらうことにした。 「すみません、ありがとうございます」 「いいんですよ、そのための医務室なんですから」 だからと言って、膝を派手に擦りむくなんて子どもの頃以来な気がする。 大人になってこんなケガをするとは思わなかった。 「ところで、さっきの男性はもしかして彼氏さん?」 「かっ!?ち、違います!たまたま助けてくれた人で…今日の打ち合わせの相手でもありまして」 私はぶんぶんと首を振って全力で否定するのと、傷口をぽんぽんと消毒されたタイミングがかぶって、私は思わず顔が引きつる。 「そうなんですか?あなたのことすごく心配していたみたいだから、てっきりそうなのかと」 少し沁みるけど我慢してくださいねーと優しく言われるけれど、その手つきはなかなか容赦がない。 私が事情を説明すると、女医さんは納得したように頷いた。 「そう、人にぶつかって…それは災難でしたね。でも、初対面であんなふうに恥ずかしがらずに助けてくれる人なんてそういないですよ」 「……私はすっごく恥ずかしかったですけど」 女医さんはふふっと笑うと、右膝にガーゼを、右手には絆創膏を丁寧に張ってくれた。 「はいおしまい。一晩経って他の箇所が痛んだりするようだったら、ちゃんと病院に行くようにしてくださいね」 「分かりました、お手数をおかけしました」 応急処置を施してもらって安心したせいか、先ほどまでの痛みはだいぶ和らいだ気がする。 「それではお大事に、それから頑張ってくださいね」 「はい、ありがとうございました」 私はお礼を言って、医務室を後にする。 それからエレベーターに乗ると、新堂さんの待つ15階の第3会議室へと急いだ。
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