12. 想いに正直に

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そして迎えた週末の土曜日。 今日は個展のレセプション当日だ。 私は朝から部屋の大掃除をしたりしばらく洗っていないラグを洗濯したりと、なるべくそのことを思考の外に追い出そうと、いつになく忙しなく動いていた。 夜ごはんは何か手の込んだものでも作ろうかと午後からスーパーに買い物に出て、帰ってくると15時近くだった。 (もう少ししたら、レセプションも終わる頃なのかな) 考えないようにしたくても、ふとしたときについ思い浮かんでしまう。私は料理にでも集中しようとキッチンに立ったとき、テーブルに置いていたスマートフォンが鳴った。 私はいったん作業の手を止めると、登録されていない知らない番号からの着信だった。 (誰だろう?仕事関係は大体登録してあるはずだけど…) 不思議に思って、着信音が鳴る間少し逡巡してから通話ボタンを押した。 「…はい、もしもし?」 「あ、その声ってポメ子さん?」 聞こえてきた予想外の声に、私はびっくりしてしまう。 「もしかして、玲央くん…?」 「あーやっぱり、これポメ子さんの電話番号だった」 事務所に行かなくなって、新堂さんだけでなく玲央くんとも会うことがなくなったので、声を聞くのは久しぶりだった。 初めは複雑だった玲央くんのポメ子さん呼びも、今は懐かしくて嬉しいなんて、我ながら単純だなと思う。 「あれ、どうしてこの番号…」 「新堂さんのデスクにあるパソコンに付箋で貼られた番号があってさ、これってポメ子さんのかなーって思ったんだけど合っててよかった。ポメ子さん今どこ?何してるの?」
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