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「あの、でもそれなら玲央くんが行った方が…」
「レセプションなんて人が大勢来るところに行くのは嫌だよ。ポメ子さん招待状もらってたでしょ?」
「もらったけど……」
「そっか、もうポメ子さんは新堂さんのことは心配じゃないんだ?」
「それは心配ですけど…!」
心配だし、会いに行きたい。でもどんな顔して会えばいいのか。
それにもしも『今さら何しに来た?』とでも言われたら…たぶん立ち直れない。私のぐずぐずとした泣き言に、玲央くんの呆れたような声がする。
「あのさポメ子さん、俺が前に言ったこと忘れた?」
(……前に言ったこと?)
「新堂さんは、言ってることと考えてることが必ずしも一致しない人だってこと」
そういえば、前に言われたような気がする。
あのときも今も、その言葉の意味がいまいちちゃんと理解できていないけれど。
「そうだ、良いこと教えてあげようか?」
そう言うと玲央くんは私に――とんでもない爆弾を落としていった。
私はその破壊力に危うくスマートフォンを落としそうになる。
「…!?そんなの無理だよ絶対!」
「なんで?二人って付き合ってるんでしょ?」
「!?ど、どうして知って…」
「もしかしてあれで隠してるつもりだったの?あんなの見てたら分かるよ。大丈夫だって、新堂さんそういうの絶対好きだから一発で落とせると思うよ?」
「お、落とすって…、、」
新堂さんとの関係が玲央くんにバレていたことも恥ずかしいけれど、何より玲央くんからのアドバイスが心臓に悪すぎる。私は自分の顔が知らず知らずに熱を持っていることに気づいた。
「まぁそういうことだから、新堂さんのことよろしくね泉さん」
「!?玲央くん、いま、」
「ほら、早くしないと閉館時間になっちゃうよ?じゃあねポメ子さん」
「また戻ってる!」
電話越しに聞こえる楽しそうな笑い声に、私は玲央くんのあの悪戯っぽい小悪魔みたいな笑顔を思い浮かべた。
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