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壁はほとんどないけれどパーティションをうまく使ってゾーニングされ、導線もきちんと確保された通路を歩く。
物珍しさできょろきょろと見回していると、前を歩く新堂さんが少し振り返った。
「取材許可するまで、ここで目にしたものや耳にしたことは他言無用。当然撮影ももちろん禁止。少しでも逸脱行為があればその時点でこの話は終わりだから」
「それは心得てます」
「あっちのドアはうちのアシスタントの作業場だから、絶対に勝手に開けないように」
そう言って指さした先には白いドアがあった。
「アシスタントの方がいらっしゃるんですね。ご挨拶はしておかなくてもいいんですか?」
「今日から平日に来ることは言ってあるからわざわざ必要ない」
本当にいいのかな?と気になりつつも、それ以上追及できるわけもなく私は「分かりました」と返事をした。
「向こうがクライアントとのミーティングスペース。こっちが普段俺が使ってる作業スペースで、主にこちら側で作業してもらう」
そう言いながら通された作業スペースを見て、私は思わず固まってしまった。
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