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「で、どうすんの?よく見たら右膝はストッキングも破れてるし、その格好のまま『奇跡の人』に会いに行くわけ?」
「えっ、あぁっ!?」
指摘されて確認すると右膝のストッキングが破れていて、おまけに踵まで伝線している。
冷静に見ると、確かにひどい。
目の前の男性は口元を私の名刺で押さえているけれど、あれは笑いを堪えている顔だ。サラサラの前髪の下から覗く目が笑っている。私は遅れて恥ずかしさに襲われて、俯くしかなかった。
幸いポーチの中にストッキングの替えはあるけれど、絆創膏がない。この前、靴ずれの応急処置で使ってから補充するのを忘れていた。
(困った、どうしよう…)
ここからコンビニか薬局を探して絆創膏を買って、ストッキングを履き替えて…はたして時間はどれくらいかかるだろう。
頭の中で計算するけれど、悩んでいる時間も惜しい。
うじうじ悩んでいたって仕方ない、とにかく急がないと!
「あの、助けていただいてありがとうございました、私もう行きますっ」
もう一度お礼を言ってから立ちあがって体重をかけると、倒れ込んだ衝撃で打った右膝と腰に痛みが走って思わず顔が歪む。
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