1. 助けてくれたのは

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「……っ、」 「ほら、言ったそばから」 私は咄嗟にブロック塀に手をつく。 捻挫とかはしていないと思うけれど、これはゆっくりしか歩けないかもしれない。 時計を確認すると、約束の時間まであと20分と迫っていた。 今から遅れることを連絡しないと。でも、忙しい中時間を割いてもらったのに、事情を説明したとしても遅れると聞いて会ってもらえるだろうか。 (どうしよう、ここまできたのに…) 私は俯くと、無意識のうちに唇を噛んでいたことに気がつく。 「はぁ…おい、左手貸せ」 「……え?」 男性は突然しゃがみ込んだかと思うと、そう言った。 意図が分からず戸惑っている時間も惜しいのか、右手で私の左手首を掴むと彼の肩に置くよう促される。 「打ち合わせの場所って、この先のセントラルタワービルだよな」 どうして知ってるんだろう。 そんな私の疑問も、次の予想外の行動にすべて吹き飛んでしまった。
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