もみの木の章 初戦闘《リベンジ》

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もみの木の章 初戦闘《リベンジ》

アリエルについて歩いくとやがて水辺があるところまで来た。 グリーンスライムがいる。この辺りは家から見て水辺の反対側、だからガルさんに狩られていない魔物が他にもちらほらいる。家の近くはガルさんのおかげで安全なんだけどね。視線をグリーンスライムに戻す。 気が重い、ボコボコにされた恐怖がよみがえる。いや! 首を降って気を散らす。アリエルが見ているじゃないか。 「とうとう戦う時が来たか、あの時はまだ小さかった。今ならやれるはず……この木剣ってなにか特殊な力とかあったらいいんだけどなー。そうだ!先に鑑定してみよう」 木剣 世界樹の枝から作られた木の剣、丈夫で自動修復の性質を持つ、剣士の初期装備。 「おっ!マジか!自動修復機能がついてるのか、これならいくら使っても、壊れなそうだなー……」 アリエルを見てみるとニコって微笑んだ。 ……いくしかないか。 「よし行くか」 気合いを入れ直して、グリーンスライムのところに近づいていって……えーいままよ!木剣を振り上げて、スライムに向かっていく。 「ハァァ!」 スライムを叩きつけるとゴムを叩きつけたような感触がして、凹んだ。だが形が元に戻っていく。 HP60% HPの緑バーが減っている。四割削れた。 形が元に戻ると突っ込んできたではないか!体当たりをくらうが。 「おっ?」 HPが守ってくれたようだ。痛くない。良かったー。 2のダメージ! HP8/10 HPが減っている。そうか、俺のHPは守ってくれるんだっけなー。気を取り直して、木剣を横に振って叩きつける! HP30% 今度は3割削れている。  形が元に戻ると体当たりしてきた! HP6/10 木剣を振り上げて叩きつけるとグリーンスライムは震え形を維持できなくなったように平たくなってしまった。 「倒せた…」 念のため木剣で突っついてみるが、反応がなかったので持ち上げてみる。 見かけはあれだがスライムってほんのり甘酸っぱくて美味いんだよなー。 【グリーンスライムを倒した。1の経験値をえた】 「おっ!倒したのか、経験値が入ったな」 「おお、やったじゃん、この調子でレベル上げてこう」 「そうだな!」 戦ってみれば意外となんとかなったな。次からはなんとなりそうだ。しかしスライム持ったままでは戦いづらいよな。 「…ところでこれどうしようか?袋取りに家に戻るかなー…」 「あっ!そうだった。テヘ、こんなことがあろうかと助っ人を用意してました」 アリエルはカバンに手を突っ込んでゴソゴソすると中からなにか取り出した。 「じゃっじゃーん」 高々と上げたそれは、ただの小枝にしかみえない。しかし天使のやること。なにか意味があるものじゃないのかと思うが…。 「ではさっそく呼んでみよー!ネコすけー!しっごとっだよー!」 ポンと煙の中から出て小枝に食らいついたのは、頭に小判が乗った太った猫の獣人だった。無我夢中に小枝をしゃぶっている。 「ハムハム、誰がネコすけだ!おいらの名は、根子ノ助三郎(ねこのすけさぶろう)、だニャン。天使様いい加減覚えてくれニャン。ハムハム、ジュル」 「へへへ、覚えてるよ!根子ノ助三郎(ねこのすけさぶろう)。えー、長いからめんどー、略してネコすけでいいじゃん」 「いや、せめてそこはジュル、ネコノって呼んでて、言ってるニャン、もー」 「えー可愛くないから却下、ネコすけはネコすけだよー、それあげるから仕事してしごとー」 「まったくしょうがない人じゃニャン。あっ初めまして旦那、おいらは商人(あきんど)をやってます。ケット・シー族の精霊、根子ノ助三郎(ねこのすけさぶろう)ニャン。ネコノって呼んでニャン。よろしくニャン。なんか買っていくニャン」 「あっああ、よろしく…俺はルクスっていうんだ」 「ルクスか、覚えたニャン」 俺の腰くらいの猫の商人と握手する。獣人じゃなくて精霊だったか。
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