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もみの木の章 魔道兵器
浮かび上がった無数の鏡を見上げる。
大地が轟き揺れだした。
「うわー、今度は地震かよ!」
無数の鏡が加速的に現れていき、その姿を現していく。それは人の形を模した……ブロック状の鏡でできた超巨大な何かが現れたのだ!
「ルクス!」
アリエルが走り出した。俺も後を追いかけるように半島の先から走り出し、この場から離れようと必死に走る。
大地が揺れ、空にヒビが入り、空が崩壊していく―――いや徐々に断崖絶壁の姿が現れていくではないか!
「ハァハァ」
半島先から、こちらに向かって横たわっていた10メートルは優に超えた鏡の超巨大人型兵器がゆっくりと起き上がる。揺れが強くなり、崖からそこら中に岩が落ちていく。
走りながら、寝ていたそいつの足辺に向けて鑑定をかけといて、確かめてる暇などないので、今は走って逃げる。
「ハァハァ、なんだあいつは?」
無我夢中に走って、先行するアリエルのあとに続き、砂地を必死に走る。
「ハァハァ…」
走ってると左側の水辺が断崖へと変わっていき――遥か彼方へと断崖絶壁になっていく!
―――やがてアリエルが止まった。ここまでくればまずは一安心か。
十分な距離まで離れて、振り返って見てみれば、そいつはゆっくりと立ち上がると体に残った岩が落ちていき、やがてその全貌が現われた。
立ち上がったそれは、全身鏡のブロックで出来たような超巨大な人型のゴーレムのように見えた。
「なんなんだこいつは?」
「そっかー、こいつのせいで断崖が隠れたのかー」
アリエルが納得するように呟いている。とりあえず鑑定の結果を見ておこう。
LoR6ガゴM型
(ガーディアンミラーゴーレム)
本体HP9,000/9,000
右手HP3,000/3,000
左手HP3,000/3,000
右足HP4,000/4,000
左足HP4,000/4,000
MP900/900
魔道兵器
全長17.5m
亜神によって造りだされた人型兵器
。
鏡を操り幻想の世界を創り出す。
光魔法を反射する。
素材 ガーディアンミラーゴーレムの鏡 亜神の力が宿った幻想の世界を創る鏡
なんだコイツは?こんな奴勝てるはずがない!
「鏡を使って幻想を創り出すか、やはりこいつが断崖を隠していたのか」
「ええ、信じられない、なーんでこんな魔素が低いところにいられるの?魔素が低い所では、こーんな強力な魔物って行動が制限されてすぐに動けなくにー」
ガゴが動きだし、足を上げ、大地を踏みしめると大地が轟いた。彼が進むごとに大地が悲鳴をあげるかのように轟音が響き渡る!
「うーん」
アリエルは片手を掴みながら両腕を上に上げ背中を反らし伸ばすと、マイペースに柔軟体操を始めだした。
「しっかたない、ここは天使様の出番か」
おお!さすがにここは手伝ってくれるのか!ありがとう天使様。
「アリエル……やるかアリエル」
「おう!」
「よっしゃ!ところでアリエルってさー」
「うんうん!」
「あいつに勝てるだよなー?」
「無理」
「そうだよなー、わりー天使様なら余裕……えっ今なんつった?」
あいつの足音でよく聞こえなかったんだが。
「無理無理、さすがのあたしも無理よー」
「えっ…じゃどうするの?」
「うーん、たぶん数発ならあいつの攻撃防げると思うからー、その間に逃げてー」
逃げる、か、
〜♪
逃げてどうすんだ?
〜♪
逃げてもこんな奴とてもガルさんでも倒せないよなー。
〜♪
あーさっきからあの音楽が頭から離れない!
「なあアリエル?」
「うん?」
「変なこと言ってもいい?」
「なに?」
「半島の先で聴いた音、きっと呼んでるんだと思う。「助けて」って俺を呼んでるんだ」
「…わかったわ。火力と機動力、あたしが牽制するから、その隙に行くのよ!」
珍しく真剣な目で見つめてきたアリエルが、もう目の前まで迫っていたガゴに向かっ走り出した。
ガゴと対峙するとアリエルはガゴに向けて両手を翳す!
「セイントキャノン!」
聖なる光の波動砲がガゴを吹っ飛ばした!
ガゴは空中で体を反らし、鏡で反射させ反らした聖なる光が、後方の水面を爆ぜさす!
俺も半島の先に向かって走る。
ガゴは地面に落ち、大地が轟く!
空かさずアリエルは空を飛び、詰めると倒れたガゴに向かって聖なる光の波動砲を放とうとする。
「セイントキャノン!」
だがガゴの超スピードの強力なパンチが横からアリエルを襲った!直前に聖なる光のバリアを展開したアリエルだったが、水面を2、3度バウンドして、砂の上に叩きつけられてしまった!光の羽が飛び散って、消えていく。
「ゴッホ、ゲッホ」
アリエルは血を流し、倒れてしまってる、瀕死状態だ。
ガゴの緑バーは、なにも減っていない、なんてやつだノーダメじゃないか!
奴はゆっくりとした動きで起き上がり、立ち上がろうとしている。
「ハァハァ」
……必死に走ってやつの目の前まで来た。しかしガゴが邪魔で先に進めない。奴が立ち上がった。そこしかない!足と足の間に向かって走った。
「ハァハァ」
足と足の間を通り抜けようとしてると、
「ルクスー!!」
アリエルの叫び声に振り返ると、高速の巨大な拳が迫っていた!
咄嗟に盾と剣をクロスさせると目の前にアリエルの聖なる光のバリアが展開された。しかし拳はバリアを突き破って、当たる直前、もう一枚展開されたが、ふっ飛ばされると俺はそこで意識を失った。
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