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もみの木の章 小さな光
【神眼が開花した。鑑定を覚えた】
それは無機質で機械的な女性の声だった。そんな言葉が脳内で響いたのだ。
鑑定。
風ノ不死狼ダークガルム
二つ名付きユニークモンスター
目、耳、痛覚、味覚がなくゾンビになりかけていた魔大狼の成れの果て。
弱点 聖魔法や光に弱い
光か、どうすれば…あっそうだ!自分のことを鑑定してみよう。
種族人間LV.1神徒LV.1
HP1/1
MP1/1
スキル 神眼(鑑定) 光魔法
光魔法がある、やってみるか。
手に力を集めるイメージをしてると胸の辺りから手に力が集まっていく感覚がする。
これが魔力なのか?
魔力を解き放つ!
見えた!光だ、光が見える。
暗闇に一筋の光が見えた。
「くうーん!!」
「奇跡、奇跡じゃ、なんだい今の光は?あんたがやったのかい?待て!風太郎この子を食べないで!」
狼の鼻息が近づいてくる…ダメだったのか?このまま食われっちまうのか?あっヤバイ!食べられる!
「オンギャー!オンギャー!オンギャー!ッ!!」
ほっぺに冷たい感触がして、ビックッ!反射的に両手を上げた。これたしか人が猿だった頃の原始的な名残、モロー反射って言ったかなー……あれ?俺、まだ生きてる?
……生きてるぞー!!
『ヒカリダ……ヒカリ……ヒカリガミエル……』
「ワオォーーン」
『光だ、光が見えるぞー!……赤子のいい臭い、お前は……一体……一体何者なんだ?』
『なんだ?なんで急にこいつの声が聞こえるんだー?どうしよう……あっそうだ!食べられないようにとりあえず死んだふりしとくか』
「……」
『おい!貴様の考えてることなどお見通しだ。返事をしろ!』
『返事がない、ただの赤ん坊のようだ』
『ふざけてると食ってやろうかぁぁぁ!』
ペロ。
『ヒッ!勘弁してくれ、食わないでー!』
『始めッから素直に話せ、お前、何者なんだだ?』
『何者って言われましても、俺はもみの木の代わりに転生してきたしがない日本人です』
『ほう、日本人とは聞いたこともないが、もみの木の生まれ変わりかー、それであの光……なるほど……』
「なんだか知らんけど風太郎は食って来なそうですねー爺さんやー」
「ああ、奇跡じゃー、もみの木様の奇跡じゃー」
「ヒッ!風太郎が鼻をくっつけてきた!」
「待て風太郎、早まるでない!」
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