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女神との邂逅と龍の宝珠
女神は言った。
「あなたは死にました」
と。
真っ白な世界、その声色は優しく、心に響き入ってきた。
……そうか死んだのか。優しそうな人だなー、だけどどこか冷厳で神秘的な美人な人、いや女神だ、女神にしか見えない、この人女神だよな?白い羽衣とサラサラの長いプラチナブロンドヘアーが風もないのにフワフワと揺れているし。
そんな不思議な美女が微笑みを浮かべながら見つめてくる。その優しい青紫の目、心が洗われていくようだ。
「これからあなたを異世界へと転生させます」
女神様が指を指した先に、分厚い雲に覆われた星の立体映像があらわれた。まるで本物の星みたいだ……なんだか星に意識が吸い寄せられていく。
……世界が変わっている。なんて世界だ!雲の中は酸の海と不毛の大地が広がっていて、そこに雷が轟酸の嵐が枯れた木々を溶かしていく……。
「……ここは闇が支配する星の一つ」
女神の瞳は哀れんでいたが、
「この星から闇を解き放った時、どんな願いも一つだけ叶えましょう」
と微笑みかけてきた。
「この星はかつて世界樹を中心に森が広がり、緑豊かな水の惑星でした。ふたたび世界
樹が蘇れば森の聖霊達があなたに力を貸してくれるでしょう」
景色が変わた。白い世界に戻ってきたようだ。
「生前の行いを評価し、あなたにこの世界で生き抜く力を一つ授けます」
いつのまにか彼女の後ろに灰色の龍が横たわっている。
「これは神龍、そなたにこれの一部を分け与えます」
もう死んでいるのか、体が白い炭みたく
なってる気がする。
女神が指で神龍の瞼を上げると灰がボロボロと崩れ落ち、中から白い宝石のような眼球があらわれた。その瞳の虹彩は血のように赤く、黒い亀裂が走ったような瞳孔をした宝珠だ。
「一つは見る力。蠢くものの正体を暴き見る力」
腕だけ動かし、顔の横に空いた耳の穴を指差す。すると中から翡翠色の宝珠があらわれた。
「一つは聴く力。蠢くものの言葉を理解し聴く力」
神龍の顔に近い前足を指差す。握りしめられた鋭い爪の生えた三本指の隙間から琥珀色の宝珠があらわれた。
「一つは触る力。蠢くものを手で感じ取る触る力」
口を指差す。鋭い牙の隙間から奥の舌上に藍色の宝珠があらわれたのが見えた。
「一つは味わう力。蠢くものの味を知る味わう力」
鼻の穴を指差す。虹色の宝珠があらわれた。
「一つは嗅ぐ力。蠢くものの匂いを解析する嗅ぐ力」
女神が優しく語りかける。
「あなたがほっする力はどれ?」
なぜだろう?神龍の目が僕を見ている気がする……まるで見透かされているような気分になる。見てみたい、彼が見る世界、見てきた世界を。
そう思うと神龍の目の宝珠が僕の右目と重なった感じがした。
━━━どこからか光と共にあらわれた少女が無邪気な笑顔で近づいてくる。彼女は僕の手を取った。優しい温もり、なんだか懐かしいな……。
「行こ」
無邪気な声を聞いて頭に電気が走った。そうだこの子、俺をここに連れてきた子だ!
まるで女神を少女にしたような女の子に引っ張られ、立ち上がる。彼女に連れられ歩んでいく……光り輝く扉を潜った。光に包まれ……光に溶けていく━━━。
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