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「うーん、うーん」
「ほれほれ、まだらくがきはたくさん残っておるぞー」
ピョンくんは一生懸命に家のらくがきをふきました。おじいさんは使ったぞうきんをバケツでゴシゴシ洗ってまたピョンくんに渡しました。
その周りでは小鳥たちがキュンキュンと鳴いて応援しています。
かれこれ何時間たったことでしょうか。
もう日が西にかたむいてくる頃です。
小鳥たちはいつの間にかいなくなっていました。
「ああ! ミャーちゃんを森においてきたままなんだ! どうしよう!」
「大丈夫じゃよ」
ほれ、とおじいさんが指さしたところには、小鳥たちが鳴く声につられるようにミャーちゃんがやってきました。
「ミャ、ミャーちゃん!」
「ピョンくん、ごめんね」
ピョンくんはどうしてミャーちゃんがあやまるのか分かりません。
「どうしてミャーちゃんがあやまるんだよ! わるいのはぼくだよ!」
「ううん。小鳥さんたちから聞いたの。ピョンくんはらくがきを消すために、この家のらくがきを一生懸命消していってるんだって」
ミャーちゃんは、「ほら見て」と言って家を1つ指さします。
「ピッカピカだわ。ピョンくんが、がんばったからだわ」
ピョンくんは顔が熱くなりました。
「今日はもうこれから暗くなるわ。明日はわたしも手伝うわ。ね、いいでしょおじいさん」
「うん、いいともいいとも。よかったな、ピョンすけ。お前こんなにいいお友だちがおるんじゃな」
「ぼくピョンすけじゃないよー」
ピョンくんはそう言いながら、うれしくてうれしくて、名前のとおり、飛び上がりたい気分になりました。
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