夏休みの課題

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夏休みの課題

 今日は、夏休みの課題が一通り配られる。  夏休みが迫っている喜びと同時に、教室は面倒くさそうな空気が充満していた。  先生は、まあ、楽しそうだけど。 「はい、まずは夏休みのしおりねー。今のうちに名前と、あと目標のところ書いておいた方がいいよー」  どれどれ。  まずは課題一覧を確認しておこう。  自主学習を1日1ページ、それから夏休み明けのテスト勉強、国語は、作文関係のコンクールから1つ、俳句とか標語とかのコンクールから1つ。それから夏休み用のワークを全部終わらせて、普段使っているワークを指定されたページまで。  数学と理科、社会も、普段のワークと、夏休み用のワークだ。  ここまでは、去年とあまり変わらない。「技術」の欄にタブレットの使用に気をつける、「体育」の欄に運動をする、「保険」の欄に「怪我、病気に気をつける」と書いてあるのも変わらず。  あとは・・・ 「うわ」  思わず、声が出た。  家庭科の課題、「自分でお弁当を作る」・・・?   何の拷問??  次々配られるワークやら専用の作文用紙やらに混ざって、家庭科のプリントもあった。  材料と分量、作り方を書いて、お弁当の写真を貼る、もしくは絵を描いて、お弁当のタイトル・・・タイトル??をつけて、作った感想と、食べた感想と、色合いや栄養バランスなどの振り返り、・・・親のコメントが必要??そんなの、夏休みの目標だけで勘弁してほしい。  ・・・私に何を作れと?  いや、作るだけならいい。ハンバーグだろうがオムライスだろうが唐揚げだろうが、作るだけならできる。だけど、食べさせられるの??  うまく言えば、「ヘルシー(肉無し油無しほぼ野菜)弁当」とかタイトルをつけられそうだけど。  うーん・・・    帰り道。 「ニニ、課題見て絶望的な顔しているように見えたけど・・・どうしたの?」 「家庭科が」 「ああ、お弁当か。ニニは作れても、食べられるの?」 「無理。絶対無理」  そんなに顔に出ていたのか、みかは励ますように言った。 「でも、夏休みはいろいろ楽しいこともあるよ」  ・・・。  いや、ないだろ。 「絶対無い。猛暑だし、近所は祭りでうるさいし」  花火はともかく、昼間の爆音は何??一日中楽器の音で騒がしいし。 「あ、そっか。こっちにもお祭りあるのか・・・どんなの?」 「行ったことないから知らない」 「・・・一緒に行く?」 「行かない」  即答したのがまずかったのか、みかは悲しそうな顔をした。 「地元の小中高生が大騒ぎしててうるさいから。住宅街までゴミが落ちていることもあるし、真夜中に帰る声も響くから寝られやしない」  とにかく、騒がしいのは嫌いだ。  決してみかと行くことが嫌なわけじゃない。 「そういうところは、どこのお祭りも似た感じなんだね・・・ま、いっか。夏休みはニニと遊ぶ約束いっぱいできそうだし」  え? 「勉強会じゃなくて?」 「勉強もするけど!僕は遊びたい!夏休み中はお母さんもずっと仕事だし」  まあ、それは我が家も同じだけど。 「他の人とは遊ばないの?」 「遊ばないよ」  みかはなぜか、一気に不機嫌な顔になった。  何やらぶつぶつ言い始めている。  よくわからないけど・・・ 「遊ぶって、どこで遊ぶの」  みかの顔は一気にパッと明るくなった。わかりやすい。  あと、久々に「気を遣う」っていうことをしたかもしれない。  ・・・お父さんは良いって言ってたし、うちで遊んでも良いのか。何するのかさっぱりわからないけど。
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