見つけたよ、君を

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 獄所の管理者と各部隊の小隊長が、研究員を最後の『魔物』へ案内する。  研究員はその『大物の魔物』が捕らえられている部屋の鉄格子の前で、茫然と立ち尽くす。  鉄格子がはめられた空間の奥には、魔法の鎖で拘束された『魔物』がひとり。 「わかりますか、この禍々しい瘴気。この『魔物』には本当に数々の被害を被りましてね。過去の悲惨な襲撃があった事件など、大体この『魔物』が携わっていたようで。運よく捕らえることが出来て何よりですよ……こちらの被害も大きかったですがね」  そう言って中年の小隊長が『魔物』を睨みつける。  研究員は獄所の管理者から受け取った資料に目を通す。  そこには数々の残忍な所業、生み出した魔物の膨大な数が記載されていた。 「ここまでレベルが高い『魔物』になるなんて、元は一体どんな人間だったのか……。人間の時は悪さをしていないようですがね、素質があったのでしょうかね」  若い小隊長が鼻で笑いながら捕らえられた『魔物』を見下す。 「……彼女は……この『魔物』は、私の恋人だ」  研究員は右手で鉄格子にしがみついたまま、膝から崩れ落ちた。
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