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──La vie en rose──
とある人物はいつの間にかスマホに表示されたアプリにアクセスし、フリップ入力する。
その人物の顔や体には、たくさんの傷やアザ、火傷の跡が痛々しい程に刻まれ、藁にも縋る思いで打ち込む。
⎯⎯すると画面に、【La vie en rose】と書かれたアイコンを見付ける。
「ラヴィアンローズ……。
噂がもし本当なら……憎い相手を殺してくれるなら……。
アイツを……父親を……」
必死な声と表情で画面を見詰め、アイコンをタップする。
タップした瞬間⎯⎯≦あなたは薔薇色の人生を送りたいですか?≧の文字と共に。
【はい】【いいえ】の選択肢が出て来る。
「薔薇色の人生か……。
噂通りだ……本当に存在した……!
父親を殺したら…薔薇色の人生が、待ってるって、事?」
『怪しい』⎯⎯そうは思っても、恨みを晴らしたい気持ちは高鳴るばかり⎯⎯。
意を決して、【はい】をタップ……。
すると、名前を入力する画面に切り替わり、その人物は父親の名前を入力して、【送信】をタップ。
すると突然辺りは漆黒の闇に包まれたかと思うと……空には皆既日食の太陽が浮かぶ、見知らぬ森。
そよそよと、風に乗った黒い木の葉が舞い降りると、黒いローブの黒魔術師がやって来る。
「!!Σ誰!?お兄さん……」
「僕は黒魔術師……呼んだでしょ?」
ぽつりと、呟く様に言うと、右手に着けたブラックラブラドライトのブレスレットを光らせ、黒い薔薇を具現化させると手に持ち、その人物に差し出す。
茎には黒いリボンが結ばれている。
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