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父親が散らかしたゴミを拾って、ゴミ袋に入れながら話す。
「うるせぇ!
片付けてんじゃねぇよ!」
そう言って投げ捨てた黒葉の頭に空き缶が当たる。
「…そんなんだから出ていくんだろ」
「ああ?何だ、はっきり言え!」
唇を噛み締め、握り拳を作って振り返る。
「そんなんだから、姉貴もお袋も出ていくんだろ!」
「んだと、糞ガキが!」
立ち上がった父親は黒葉の髪を掴んで振り払う。
ガシャーン!
バタバタ、ドーン……と激しい音がして倒れる。
「俺はなガキなんか要らなかったんだ。
それをあの女(母親)が作りやがるから」
子供にとって、それは親が口にしてはならない言葉。
子供の存在を否定する、残酷な言葉……。
「文句があるならお前も出てけば良いだろ!?
鬱陶しいんだよ……チッ」
残酷な言葉……親として有り得ない態度、そして舌打ち……。
「……そう…分かった……もう良い……」
「分かったんなら──」
振り返った父親は黒葉が黒薔薇を手にしていて、黒いリボンを解いていた……。
黒い薔薇はぐニャりと形を変え、球体関節人形に変わる。
「哀れな人間…罪深き犯罪者……。
人を痛め付け貶めて…罪に溺れし、哀れな魂……。
罪を背負って煉獄の炎に身を委ね、罪を悔い改めよ……。
貴方の魂……頂きます……」
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