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父親の目の前に現れたのは……。
反抗的な顔と、何か言いたげにこちらを見つめる瞳。
完璧なスレンダーボディラインと、クリンと大きな目が印象的で真っ直ぐ見据える様に見られるダークグレーの瞳をしている。
ミステリアス系なクールさと、どことなく色っぽさも持っている球体関節人形が、剣を持って父親に飛び掛って来た。
「ひっ……うわあああ……!」
父親は悲鳴を上げて、振り下ろされた剣を間一髪、避けて家を飛び出した。
「逃がさない」
小さく呟いた球体関節人形は飛び出した父親を飛んで追い掛ける。
「助けてくれ…助けてくれ…死にたくない…命だけは…命だけは……」
慌てて飛び出したからか、素足のまま外へと走り出した。
「う、うわあああ!ああああ!」
外へと飛び出した父親は……。
車のクラクションに反応が遅れて……。
それはまるでスローモーションの様に車が迫り、跳ね飛ばされた父親は……頭が潰され、下敷きとなった。
当然周りにいた人達は騒然となり、悲鳴をあげる者もいた。
そんな阿鼻叫喚な状況で、球体関節人形の笑い声が聞こえるが、それは黒葉にしか聞こえていない。
「うふふ……うふふ、あはは……あはは!
ははは!ははは!」
風に掻き消された笑い声は救急車で運ばれるまで続いた。
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