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黒魔術師から受け取った黒い薔薇を見詰める。
『あなたが本当に、その相手を殺したいと思うなら、その黒いリボンを引けば良い。
そうすれば黒い薔薇があなたの恨みを晴らしてくれる……。』
黒魔術師の声が脳裏を過り、茎に巻かれた黒いリボンに手を掛ける。
「このリボンを引けば……」
日常的に、身体的虐待を受けている青年。
顔や体には酷い火傷の跡。
クラスメイトから心配され、教師からも相談を持ち掛けられたが、父親が改心するとは到底思えない……何より、自分の気が済まない。
「死ねば良いんだ……あんな奴」
薔薇を服の中に隠して父親の居る場所に向かう。
暴力を振るわれるのは分かっている、だけど行かなければもっと酷い目に遭う。
それよりも黒い薔薇に父親の酷い様を見て欲しい……何となくそう思った。
「薔薇があると心強い……いざとなれば殺してやる」
黒薔薇契約
黒魔術師と契約を交わし、体の一部に黒い薔薇の烙印が押された者を指す。
黒い薔薇には復讐ドールが現れ、憎い相手を殺す。
その遺体は、まるでキャストドールのパーツの様に切り刻まれ、その魂も復讐ドールに回収され、生まれ変わる事はない。
契約を交わした者を依頼人と呼び、交わした側は死んでから黄泉の世界(死の世界)に行く事になり、試練を受けるが、生まれ変わる場合もあるが、望まなければそのまま魂は消し去られ、永遠の死を迎える。
これが、黒薔薇契約だ。
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