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七重(ななえ)はマシューとの同棲生活を楽しんでいた。マシューは数年前から交際していて、ようやく一緒に暮らすようになった。すでに互いの家族も了承していて、結婚も近いだろうと2人とも思っていた。
「ただいまー」
マシューが仕事から帰ってきた。七重はすでに夕方に帰っていて、晩ごはんを作っている。今日はマシューの大好きなハンバーグだ。愛情を込めて作ろう。
「おかえりー」
「今日はハンバーグか」
マシューはにおいだけで今日がハンバーグだとわかったようだ。七重は笑みを浮かべた。明日は休みだから、今週の仕事を頑張ったマシューのために奮発してみた。
「うん」
ハンバーグだとわかって、マシューは喜んだ。
「おいしそうだなー」
「そう? ありがとう」
マシューはリビングでぐったりした。今週の仕事の疲れが出ているようだ。疲れたけど、ハンバーグを食べて、元気を出してほしいな。
「はぁ、今日も疲れたな」
「そう?」
七重は心配そうだ。マシューの身に何かがあったら心配だ。これから幸せになろうというのに。
「うん。今日はやらかしちゃってね。色々と大変だったんだよ」
「そう。でも明日は休みだから、ゆっくり休んで、また来週から頑張ってね」
七重は励まそうとしている。
「ああ。週末は一緒にどこかに行きたいよ」
「本当?」
「うん」
と、七重は何かに気が付いた。中指にささくれができているのだ。仕事から帰って来た時にはなかったのに。
「あっ!」
「どうしたの?」
マシューは七重の表情が気になった。指に何かがあったんだろうか?
「ささくれができてるの」
「本当?」
「うん」
七重はマシューに、ささくれを見せた。確かにそれはささくれだ。
七重はささくれをむこうとした。ささくれを見たら、むこうとしてしまうのは本能のようだ。
「いたっ・・・」
だが、七重はむきすぎて、血を出してしまった。どうしよう。
「どうしたの?」
その声に気が付いて、マシューは七重の元にやって来た。
「むきすぎて血が・・・」
「大丈夫?」
マシューは心配そうな表情を見せた。大丈夫だろうか?
「何とか」
そろそろハンバーグができる頃だ。電子レンジで中まで火を通していたが、アラームが鳴った。
「さてと、晩ごはんにしよう」
「うん」
七重は出来上がったハンバーグを皿に盛った。これで今日の晩ごはんの準備ができた。それを見て、マシューがやって来た。
「いただきまーす」
「いただきまーす」
2人は晩ごはんを食べ始めた。食卓には、瓶ビールもある。明日は休みだ。ビールを飲んで疲れを取ろう。
「おいしい!」
マシューは喜んだ。やっぱり七重の作るハンバーグはおいしいな。疲れが一気に吹っ飛ぶよ。
「本当? ありがとう。マシューのために頑張ったのよ」
「ありがとう」
マシューは以前から考えていた。明日はデートだ。東京ディズニーリゾートに行こう。
「明日のデート、楽しみだね」
「うん」
食べ終わった七重は、リビングでぐったりしていた。七重も、今週の仕事を終えて、疲れ切っているようだ。お互い疲れているようだ。だけど、明日は休みだ。デートで疲れを取ろう。
ふと、マシューは七重を見た。すると、七重は寝ている。疲れて、寝てしまったんだろう。
「あれ? 疲れて寝ちゃったのか?」
と、マシューは七重の傷が気になった。何とかしたいな。だけど、どうしよう。
「あっ、そうだ!」
マシューは何かに気が付いた。マシューの顔がだんだん変わってき、ドラゴンになった。
「グルルル・・・」
マシューは七重の傷口をなめた。すると、傷口は何もなかったかのようにきれいになった。それを見て、マシューは元の姿に戻った。
「よし、治った」
それから数分後、七重は目を覚ました。まだ寝る時間じゃないのに、起きてしまった。
「あれ?」
「ちょっと寝てしまっていたんだ」
マシューは笑みを浮かべた。マシューは何もなかったかのような表情だ。
「そっか。ごめんごめん」
「いいよ。疲れたんでしょ?」
「うん」
と、七重は気づいた。ささくれのできた部分が全く痛くない。七重は中指を見た。だが、ささくれなんてなかったかのようにきれいだ。
「あれっ?」
「どうしたの?」
「ささくれが治ってる」
マシューは喜んだ。自分が治したんだが、喜んでもらえただろうか?
「本当だ。どうしてだろう」
「フフフ・・・」
と、七重はマシューの背中に羽が見えた。錯覚だろうか? それとも、本物だろうか?
「えっ!?」
「いや、何でもないよ」
七重は焦っている。マシューは笑みを浮かべている。
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