虎視眈々と

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 窓の外で鳴る小鳥の声を聴き、君は目を覚ます。白い掛布団の、純白さを失わないようにするみたいに、君はそれを丁寧に折り畳む。寝坊助の目覚まし時計が叫び声をあげる前に君は背面のつまみを回しておく。そして、儀式的にカーテンを開き、君はリビングの方へと向かう。僕は君を見ている。  君は小さく欠伸をしながら、電気ポットに水を注ぎ、電源を入れる。待つ間、小さな冷蔵庫の上に乗った、オーブントースターの中に二切れの食パンを入れる。上にはベーコンとスライスチーズが乗せてある。ベーコンとチーズが絡んで美味しそうに焦げ目をつけていく。鼻孔に入り込む匂いに、僕のお腹がぐうと鳴る。電気ポットからぶくぶくと蒸発の音が聞こえると、君はマグカップにインスタントコーヒーの粉を入れて、電気ポットからお湯を注ぐ。皿の上に二枚の食パンを重ねて置くと、君はリビングの椅子に腰をかけ、朝刊を見る。特に変わった事件がないことを確認し、君は安堵の息を漏らす。僕は君を見て笑う。
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