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もう少し入っていると言う苧うにと別れ、カプリと一緒に風呂を出た。
「さっぱりしたあ」
「身軽になった気持ちです」
「アンタ、入った時より確実に細くなってるから」
鏡で見ると、身体のラインがスッキリしていた。
「これに味をしめてまた来ようとするんじゃないわよ」
「えっ?」
「井戸に飛び込んで死のうなんて、アンタの元彼より大馬鹿よ。たまたま、近くに井戸の神がいたから死ななかったんだからね。もう、そんな事しないで」
本気で死ぬ気なんか無かったけど、現状から逃げ出したいと思ったのは本当だ。
「はい」
「ここを出たら、井戸の神に送ってもらいなさいよ」
「……はい」
「何よ、ちょっと知り合っただけの妖怪と別れるのが寂しいの? しっかりしなさい」
「でも、なんか胸がギュッて痛くて」
「ちゃんと、生涯を全うしたら、迎えに行ってあげてもよくてよ」
「ーー待ってます」
着替えをして外に出ると、井戸の神が待っていた。
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