お手紙ありがとう

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 そいつは小弥太を何だと思っているのか。  朝も昼も夜もなく、せっかく相手ごとに割り振った曜日も無意味になるほど、次々と大量文を送り付けてくる。  そりゃ小弥太は公務員だ。就職相談窓口でやってくる人々の相談を受ける仕事だ。そういう人間ならば「相談に乗る」のは得意と思われたのか。  いやいや、仕事ならば仕方ないが、怒鳴られる、理不尽な怒りをぶつけられる、延々と続く愚痴……そんなことをプライベートでまで受けたくはない。  そいつは金に困った、人間関係のそんなこんなのトラブル、仕事が長続きしない、世の中は狂っている、自分はその被害者だ、的な愚痴を延々書いては送ってくる。小弥太に何と言ってほしいのか、さっぱりわからない。  汚い字のうえ丁寧に書こうという気も感じられない。おまけに古いカレンダーの裏紙という無神経さで、それも少ない枚数にまとめようという意思が全くない、一枚当たり数文字だけの、大量枚数の文句垂れ流しだった。  最初だけ何とか読んだが、ハッキリ言ってもう一文字だって目にする気さえ起こらない。  でも断れない……こいつ、麗子の弟だから。  ほどなく案の定、ポストは詰まった。  レッドカードの解除にいくらかかったと思う。    
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