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良輔がバスルームに入ると、 凪子はすぐに洗面所へ行き、洗濯機の中から良輔の服を取り出す。 匂いを嗅いでみると、例の香水の香りはしなかった。 テーブルの上にはゴルフ場の近くにある観光地で買ったと思われる、 土産物の菓子が置いてあった。 念の為ゴルフバッグの中もチェックすると、 乱雑に並んでいたので、ちゃんと使われた形跡があった。 今日は絵里奈とは会わずに、本当にゴルフ接待だったようだ。 凪子はうんと頷くと、 次の作戦に向けて戦闘態勢を整える。 (絵里奈と会っていないって事は、今夜また良輔が求めてくるかもしれない) そこで凪子は改めて考えておいたセリフを頭の中で復習する。 もし良輔が凪子を求めてきたら、 どうやって断るかをちゃんと考えていたのだ。 セリフが完全にインプット出来たので、今度は引き出しの中から、 レディースクリニックで貰った薬の袋を取り出した。 そしてそれを、良輔が気付きやすいように カウンターの上へ無造作に置いた。
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