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絵里奈とのメッセージはすぐに見つかった。
二人は毎日、かなり頻繁にやり取りしていた。
とりあえず、凪子は直近のやり取りを見てみる事にした。
【また今週末も会えないのね】
【ゴルフ接待なんだから仕方ないだろう】
【もう三週間も土日に会えていないのよ!】
【だからこの前資料室でシテやっただろう?】
【うん♡会社でのエッチ、最高に気持ち良かった♡】
そこまで読んで、凪子は絶句する。
この文面から読み取れるのは、
二人が会社の資料室でセックスをしているという事実だった。
(何てこと!)
凪子は思わず吐き気がこみ上げてくる。
凪子は自分の職場が、
何か汚らわしいもので侵されたような気になっていた。
職場は、凪子にとっては神聖な場所だ。
自分が本気で情熱を注いでいる闘いの場でもある。
そんな大切な場所で、あの二人はセックスをしていたのだ。
凪子は二人に対し、
怒りを通り越して赦せない気持ちになっていた。
しかし、時間がない。
夫はいつ目を覚ますか分からない。
凪子は一旦深呼吸をしてから心を落ち着けると、
気を取り直して続きに目を通した。
【しばらくは忙しいんだ。我慢してくれ!】
【うん、じゃあ今週もまた資料室でシテね!♡】
【分かったよ...じゃあ月曜日の14時にな!】
【オッケー♡絵里奈可愛い下着を買ったから、それを着けていくね♡】
(って事は、明後日の月曜日にまた資料室でするって事?)
そこで凪子は、夫が絵里奈に送ったメッセージの時間をチェックする。
その時間は、ちょうど夕食を終えた頃の時間だった。
おそらく、食事の後トイレへ行った時に送ったのだろう。
夫はこの土日に凪子で解消できない性欲を、
週明けの初日に絵里奈で解消しようとしているのだ。
凪子は呆然としていた。
良輔に対する嫌悪感のようなものが心を埋め尽くす。
しかし気を取り直し、
とりあえず直近のやり取りを全てスマホのカメラで撮影した。
それからさらに過去のやり取りを読み始める。
どれも同じような内容だ。
中身のない薄っぺらい会話の羅列に、更に凪子の嫌悪感が募る。
しかしなるべく割り切るようにして、スマホで撮影していった。
大体のやり取りを読み終わった凪子は、
二人のメッセージのやり取りには、徐々に変化がある事に気づいた。
初期の頃のメッセージは、良輔の方がかなり積極的だった。
良輔が絵里奈に送った言葉は、
思わず凪子が目を覆いたくなるような、恥ずかしい文面ばかりだった。
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