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週明けの月曜日、凪子は戦闘モードで力が漲っていた。 今日は色々と忙しくなりそうだ。 凪子はドライヤーで髪を乾かしながら、 これから迎える闘いへの準備を始めた。 凪子がリビングへ戻ると、 良輔がちょうど玄関へ向かうところだった。 「じゃあ行ってくるよ!」 「行ってらっしゃい!」 凪子は玄関で夫を見送る。 それから身支度を始めた。 今日は元気が出るようなオレンジ色のブラウスに、 白のパンツを合わせた。 化粧もいつもよりも丁寧に施し、 お気に入りの香水をつける。 凪子はナチュラル系の香りが好きなので、 さり気ない優しい香りが心地よい。 そして、先週買ったルビーのリングをケースから取り出して、 左手の薬指にはめる。 この指輪は、買ったまましまっておいたので、 まだ良輔には見せていなかった。 それから、ファッション雑誌の間に挟んでおいた例の写真を取り出すと、 白い封筒に入れてからバッグへしまう。 この写真が入っていたポストの近くには防犯カメラがあるので、 誰がこの写真をポストへ入れたは、調べれば分かる。 しかし開示請求というものをしないと見せて貰えないらしい。 刑事事件等で警察が介入するような場合には見せてもらえるそうだが、 個人的なトラブルでは、見る事は出来ないだろうと紘一が言っていた。 それならばと、凪子は別のやり方でこの写真を 利用させてもらう事にした。 そのやり方とは、紀子が言っていたあの映画の方法だ。
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