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凪子は家を出てマンションのエントランスへ行くと、 すぐにポストにその封筒を入れた。 ポストの中には、あえて取らずにいた直近の郵便物も入っているので、 封筒は他の郵便物と混ざり不自然さはないだろう。 今夜良輔が帰って来たら、この郵便物を取って来てもらうのだ。 その時に、良輔はこの写真に気づくだろう。 一体良輔がどんな顔をして今夜家に帰って来るのか、 凪子は楽しみで仕方がなかった。 会社に着くと、凪子はまたあのワンピースの時のように、 商品企画部第三課の高野麻美の元へ行った。 歩きながらちらりと派遣の席を見る。 すると、既に派遣社員達は席に着いていた。 もちろん絵里奈もいた。 凪子が近づくと、麻美が気付いた。 「あっ、凪子おはようっ! おっ! なによーその指輪~! また買って貰ったのぉ?」 麻美は大きな声で凪子に言う。 (麻美ったら、いつも良い働きをしてくれるわ!) そんな麻美に感謝をしながら、凪子は笑顔で答える。 「うん! ほら、良輔が子供を欲しがっているって言っていたでしょう? なのに私がうんと言わないから、これでご機嫌を取ろうとしたみたい!」 「何よーそれーっ! 羨まし過ぎっ! それにこれってルビーだよね? 高そう~!」 麻美は凪子の左手を取り、その指輪をうっとりと見つめる。 「うん......30万以上したって言ってたわ! バカよね...そんな無駄遣いして...」 凪子は金額を少し盛って答える。
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